【耐震等級3】地震に強いハウスメーカーのチェックポイント
地震の多い日本では、家づくりを行う時に地震に対する強さを示す耐震等級を気にされる施主さんがとても多いです。そこで当記事では耐震等級が最高等級の3で地震に強いハウスメーカーをご紹介すると共に、本当に地震に強い家を建てるためのチェックポイントや耐震等級3のメリット・デメリットなどもご紹介していきたいと思います。
耐震等級
耐震等級とは建物の地震への強さ、耐震性能を示す指標の1つです。耐震等級1から等級3までの3段階で表され、数字が大きくなるほど耐震性が優れているという事を示しています。
耐震等級1 | 建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準。 ・数百年に1度程度の地震(震度6強~7程度=阪神・淡路大震災や、2016年4月に発生した熊本地震クラス)に対しても倒壊や崩壊しないレベル。 ・数十年に1度発生する地震(震度5程度)には住宅が損傷しないレベル。 |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の耐震性能。 ・震度6強~7程度の地震でも倒壊せず、一定の補修を行えば住み続けられるレベル。 ※災害時の避難場所として指定される学校や公共施設は耐震等級2以上が必須。 |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の耐震性能。 ・震度6強~7程度の地震でも倒壊せず、軽度な補修で住み続けられるレベル。 ※災害復興の拠点となる消防署や警察署は耐震等級3である事が多い。 |
1950年に建築基準法が制定され、耐震基準は1971年、1981年、2000年に大きな改正が行われました。1981年に行われた改正で、それまでの基準を旧耐震、現行の基準を新耐震と呼んでいます。
旧耐震と現行の新耐震とで大きく異なる点は、旧耐震では震度5程度の地震で大きな損傷を受けない事が基準となっていましたが、新耐震では震度5程度の地震であれば、軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6強~7程度に対しても倒壊や崩壊しないレベルとなっており、同じ耐震等級1でも現行の基準の方が地震に強いつくりになっています。
また2000年には基礎は地耐力に合ったものと規定され、木造住宅でも地盤調査が義務付けられ、柱や筋交いを固定する接合部の金物の指定や耐力壁の配置のバランスの規定なども加わりました。
このような改修を経て、現在に至っているので1981年以前と2000年以前、そしてこれから家を建てる時の耐震等級は同じ等級であっても強さが異なります。
耐震性能が決まる4つのポイント
◦建物の重さ
◦耐力壁
◦耐力壁や耐震金物の配置バランス
◦床の耐震性能
建物の重さ
重い建物の方が地震に強そうなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、軽い建物の方が地震に対しての揺れが小さくなるので地震に強いです。その為、軽量な木造住宅は耐震性能を強化しやすいです。
耐力壁
耐力壁とは地震や風などの横からの力に強い壁の事です。この耐力壁が多いほど耐震性能が高くなります。
耐力壁や耐震金物の配置バランス
各階の柱や耐力壁、筋交いをどのように配置するかで水平方向への耐力が決まるので強い建材を使えばいいだけではなく配置のバランスが重要です。
床の耐震性能
床と壁はつながっているので、耐力壁がしっかり踏ん張れるように強度の高い床が必要になってきます。床の耐震性能が良いほど耐震性が高いです。
【耐震等級3】地震に強いハウスメーカー
耐震性能が最高等級である3に対応している、地震に強いハウスメーカー一覧は下記の通りです。
耐震等級3対応のハウスメーカー一覧
ハウスメーカー | 構造 |
---|---|
住友林業 | 木造 |
一条工務店 | 木造 |
住友不動産 | 木造 |
タマホーム | 木造 |
富士住建 | 木造 |
アキュラホーム | 木造 |
スウェーデンハウス | 木造 |
クレバリーホーム | 木造 |
ユニバーサルホーム | 木造 |
アイフルホーム | 木造 |
アキュラホーム | 木造 |
住宅情報館 | 木造 |
桧家住宅 | 木造 |
レオハウス | 木造 |
日本ハウスHD | 木造 |
アイダ設計 | 木造 |
ヤマダホームズ | 木造 |
土屋ホーム | 木造 |
トヨタホーム | 木造/鉄骨造 |
積水ハウス | 木造/鉄骨造 |
三菱地所ホーム | 木造/鉄骨造 |
パナソニックホームズ | 木造/鉄骨造 |
三井ホーム | 木造/鉄骨造 |
セキスイハイム | 木造/鉄骨造 |
ミサワホーム | 木造/鉄骨造 |
サンヨーホームズ | 木造/鉄骨造 |
ダイワハウス | 木造/鉄骨造 |
へーベルハウス | 鉄骨造 |
耐震等級3に対応しているハウスメーカー一覧を見て分かる通り、今は殆どのハウスメーカーが耐震等級3に対応しています。木造でも鉄骨造でも耐震等級3対応可能です。工法も在来工法でも2×4でも、大手ハウスメーカーに多いオリジナル工法であっても耐震等級3で建てる事はできます。
全棟が標準仕様で耐震性能3であったり、1部の商品のみが標準で耐震等級3だったり、ハウスメーカー毎に違いはありますが、施主さんが「耐震性能3の家が建てたい」と希望をすれば、多くのハウスメーカーで建てる事は可能です。
同じ耐震等級3でも木造と鉄骨造では強度や性能が異なる?
鉄骨造の方が地震に強い!というイメージを持たれる方が多いですが、同じ耐震等級3であれば強度や性能は同じです。木造だから地震に弱い、鉄骨だから木造より強いといった事はありません。
鉄骨の方が強いイメージを持っている方が多い理由は恐らく、かなり昔の木造住宅と比較をしている為か、同じ質量を支える場合、鉄骨の方が柱や壁が少なくて済む為だと予想されます。
同じサイズの柱であれば木造よりも鉄骨の方がより重い質量を支える事は可能ですが、それは耐震性能の優劣の話ではありません。「耐震性能にこだわりたいから鉄骨のハウスメーカーにする」という方もいますが、木造でも最高等級の取得は可能なので、それで選択肢を狭めてしまうのは勿体無いかなと思います。
誰もがハウスメーカー選びで失敗したくないと思っていますが、残念ながら失敗や後悔をする人が後を絶ちません。失敗してしまう最大の理由は比較・検討が不十分だからです。
マイホームに限らず車や高級時計を買う時にもデザインや価格、性能などを比較するのと同じように、ハウスメーカーを選ぶ時にも各社のデザインや価格、住宅性能や設備、保証制度などを比較する必要があります。
注文住宅であれば一人一人の条件が異なるので、自分にとって最適なハウスメーカーを見つける事が大切です。この作業を面倒くさがると後々になって必ず後悔するので、先ずは無料カタログで比較する事から始めてみましょう。
耐震等級3″相当"のハウスメーカーは要注意
耐震等級3の家であれば地震に強い家と思って問題ありませんが、なかには耐震等級3相当とか、耐震等級3レベルなどと耐震等級3と断言していないハウスメーカーもあります。そのような場合には注意が必要です。
地震に強い家であるかの確認方法の違い
地震に強い家であるかどうかを確認する方法は主に3種類あります。
◦仕様規定による建築確認
◦性能表示計算による建築確認
◦許容力度計算による建築確認
仕様規定による建築確認
仕様規定による建築確認では、予め決められた規定に沿って設計をすれば性能表示計算や許容力度計算をおこなわずに耐震等級1の建物が建てられます。
面積500㎡以下で、木造2階建て以下であれば該当するため、多くの木造住宅がこれに該当します。仕様規定では非常に簡易な計算しか行われないので壁量・壁バランス・接合部の検討しか行いません。
建物全体の柱とか梁や、基礎や地盤を含めた計算などはしていません。その為、建物全体の安全性は確認が出来ていません。計算していない項目が多いので耐震等級2や3の判定は出来ません。
安全性を確認する方法として1番頼りない仕様規定による建築確認ですが、木造2階建て以下・面積500㎡以下であれば使用を認められており、他2つの確認方法と比べて費用も時間もかからず簡単に出来るので仕様規定による確認だけで済ませているハウスメーカーも多いのが実状です。
性能表示計算による建築確認
仕様規定の計算項目に水平構面や柱の座屈なども加えた計算方法によって安全性を確認します。
耐震等級2,3の判定も出来るので、性能表示計算により耐震等級が3の家であれば地震に強い家であると言えます。
許容力度計算による建築確認
柱や梁の1本、基礎や地盤の強さにいたるまで全ての部材にかかる力を計算し家全体の安全性を確認します。
3つの確認方法の中で1番緻密に調べる事が出来るので安全性能の信頼レベルも1番高くなります。
確認方法 | 安全性 | 費用相場 |
---|---|---|
仕様規定 (壁量計算) | ・耐震等級3の取得は不可。 ・非常に簡易的な計算のみ。 ・安全性は1番低い | 無料 |
性能表示計算 (品確法) | ・耐震等級3の取得可能 ・安全性は許容力度計算には劣る | 約10万円 |
許容力度計算 (構造計算) | ・耐震等級3の取得可能 ・非常に緻密に計算を行う ・安全性が1番高い | 約20万円~ |
耐震等級3相当とは
耐震性能3相当や耐震性能3レベル等と記載をしているハウスメーカーは、性能表示計算および許容力度計算によって耐震性能を算出している訳ではありません。なので"耐震性能3″とは断言できず、相当やレベルと付けて濁しているのです。
耐震等級3相当とは、壁量計算での耐震等級1に対して耐力壁の量を単純に1.5倍にした建物の事を耐震等級3相当と呼んでいるのです。確かに耐力壁が1.5倍になれば地震に対して強くはなりますが、耐力壁に連動して柱や梁、接合部や基礎の設計も重要になり、家全体で見て性能が1.5倍になる事が大切です。
耐力壁だけを単純に1.5倍にして、それを耐震等級3相当と呼ぶのは正直どうなのかなと思う部分で、性能表示計算および許容力度計算で算出した耐震等級3に比べると地震に強い家とは呼べないので耐震等級3″相当"と謳うハウスメーカーには注意が必要です。
計算方法を必ず確認
耐震等級3相当と耐震等級3とは全く安全性が異なります。知らずに建てると必ず後悔しますので、「御社の耐震等級はいくつですか?」「それは性能表示計算、もしくは許容力度計算での結果ですか?」と確認して下さい。
確認する時に、「きちんと構造計算していますか?」と聞くと壁量計算しかしていないハウスメーカーでも「はい、きちんと構造計算してるので安心して下さい!」と答える営業マンもいます。本来であれば構造計算=許容力度計算なのですが、簡易な壁量計算をもって構造計算と都合よく解釈している営業マンもいるので、耐震等級の計算方法を聞くようにしましょう。
・性能表示計算or許容力度計算の結果の耐震等級3なのかを確認。
・安全性能的には許容力度計算>性能表示計算。
・許容力度計算による耐震等級3であれば間違いない。
・性能表示計算による耐震等級3でも特に問題はない。
耐震等級2ではなく耐震等級3にこだわりたい理由
まず第一に安心・安全のためです。日本は地震の多い国です。この先、いつかはまた大きな地震がくるかもしれません。その時に、自分や家族を守る為に備えておく必要があります。
第二に耐震等級3にするメリットとデメリットを比べた時にメリットに分があると思うからです。耐震等級3にするメリット・デメリットについては後述します。
熊本地震における木造住宅の損傷比率
2016年4月14日、熊本を震度7の地震が2回続けて起きるという過去に例をみない地震災害がおきました。立て続けに発生した震度7の地震に耐えきらず、多くの建物が倒壊し多くの方が犠牲となりました。
一度目の震度7に耐えた建物の多くは損壊はしていましたが倒壊・全壊は免れていました。しかし再度発生した震度7の揺れで、避難する間もなく多くの建物が倒壊してしまいました。
そんな状況の中、耐震等級3の建物の倒壊・全壊は0棟で殆どの住宅(87.5%)は無被害でした。
上記画像を見てもわかるとおり、震度3未満の建物は多くが被害を受けています。倒壊・全壊を免れても大規模半壊や半壊の被害は受けており、大きな改修を余儀なくされています。
大地震の時に何より大切な人命を守れる事、そして家という財産を守れる事が耐震等級3にこだわる理由です。
耐震等級3のメリット
◦地震に強い家が建つ
◦地震保険が50%オフ
◦フラット35SのAタイプの金利優遇
耐震等級3にする事で地震に強い家が建つメリットの説明は不要だと思うので割愛します。
地震保険が50%オフ
地震保険には耐震等級に応じて割引が適用されます。耐震等級1であれば10%オフ、耐震等級2であれば30%オフ、耐震等級3であれば50%オフとなります。
例えば家の価格が2,000万円の場合1年間の地震保険料は32,000円の50%オフ⇒16,000円です。仮に35年ローンの場合、16,000円×35年=560,000円 総額でかかります。
仮条件を同じにした時の耐震等級1の家では総額1,008,000円です。耐震等級2の家では総額784,000円かかります。
耐震等級3を取得していれば耐震等級1と比べた時に総額で448,000円もお得になります。
※地震保険の保険料は、あくまでも目安です。
フラット35SのAタイプの金利優遇
35年間固定金利で住宅ローンを組む事ができるフラット35。耐震等級3であればフラット35のなかでも金利優遇の大きいフラット35Sの金利Aタイプでローンを組む事が出来ます。
上記画像は、借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.24%の場合の試算例です。
耐震等級3を取得しフラット35SのAタイプでローンを組む事で通常のフラット35よりも約71万円お得になる試算となっています。
耐震等級3のデメリット
◦間取りに制限がでる
◦費用がかかる
間取りに制限がでる
耐震性能を上げるには耐力壁を多く取り入れなければなりません。例えば大きな窓をつけたい、窓を多く付けたい。となった時に、窓面積が増えるとその分耐力壁の数が減るので耐震等級3を満たす事が難しくなったりもします。
ただし最近は耐力壁の性能が上がっており、少ない耐力壁でも大きな開口を設ける事が可能な建材もあるので耐震等級3だと大きな窓を付けたり、数を増やしたりする事が出来ないという訳ではありません。
もう1つ難しい間取りが吹き抜けです。地震が起きた時に吹き抜け部分に圧力がかかってしまので耐震等級3で吹き抜けをつくるのは難しいと言われています。こちらも不可能という訳ではないですが、施工可能なハウスメーカーは限られてくると思います。
費用がかかる
耐震等級3にする為にかかる費用は大きく分けて2つです。まず1つ目が標準仕様が耐震等級2の家を耐震等級3にグレードアップする為にかかる建築費のUPです。
2つ目が耐震等級3の性能を証明する為の申請費用・検査費用です。
1つめの建築費のアップ額に関してはハウスメーカー毎に異なるので事前に確認する必要があります。A社では100万円必要でもB社では標準仕様で耐震性能3なのでグレードアップの必要がなく0円という事もあります。
最近は標準仕様で耐震等級3のハウスメーカーも増えてきていますし、グレードアップが必要な場合でも建材や施工技術のUPなどにより昔よりお金はかからなくなってきています。
2つ目に関しては、耐震等級3と認められる為には公的な書類として証明書を出して貰う必要があります。その証明のための申請費用や検査費用としてお金がかかります。かかる費用は取得をする証明書により異なりますが、おおよそ10万円~40万円の必要がかかります。
耐震等級3の上?耐震等級4のハウスメーカー
『耐震等級4 ハウスメーカー』という検索キーワードで当記事へのアクセスがあったので耐震等級4 ハウスメーカーについて追加で記載をしておきたいと思います。
結論から述べると、耐震等級4は現行の耐震等級には存在していません。その為、耐震等級4を取得しているハウスメーカーはありません。
ただし強度の設定上、耐震等級3の基準を大きく上回る事は可能です。どういう事かと言いますと、耐震等級1を基準とした時に耐震等級2は1の1.25倍の耐震性能。耐震等級3は1の1.5倍の耐震性能を満たす必要があります。
つまり耐震等級1の1.5倍でも2.0倍であっても同じ耐震性能3ですが、強度は当然2.0倍の家の方があります。その為、「弊社の家は耐震等級3以上ですよ。」とか「耐震等級4に相当する強さです」等、謳っている営業マンもいるようです。
地震に強い家は地盤も重要
地震に強い家にするには耐震性能も勿論大切ですが、地盤の強さも重要だったりします。軟弱な地盤だと地震の揺れが増幅され被害が大きくなるので地盤の緩い地域に建てるのは避けるのがベターです。
地盤の緩い地域の見分け方としては、地名から推測する・古い地図を調べる・行政の提供するハザードマップや地盤サポートマップで確認するなどがあります。
水を連想させる地名は地盤が柔らかい可能性
「池、沼、江、沢、浦、浜、洲」など漢字にサンズイが入っており水を連想させる地名は低地で大昔には文字通り池や沼だった可能性もあります。
ウェブ地図「地理院地図」を見れば戦前までさかのぼって空中写真・衛星画像が確認できるので参考にしてみては如何でしょうか。
ハザードマップや地盤サポートマップ
行政の提供するハザードマップで調べたい地域の地震や地盤についての詳細、液化情報などがあるかどうかを確認出来ます。(わがまちハザードマップ)
他にもマップ上で地盤に関する情報をみる事ができるサービス(地盤サポートマップ)を使って地質や地耐力、地震時の揺れやすさなどが確認出来ます。
耐震性能や気密・断熱性能などの住宅性能。キッチンや浴室、トイレなどで使われる住宅設備の機能や見た目やカラー。外観・内装のデザイン。各社人気の間取り、保証制度など大切な事は必ずカタログで確認をしましょう。
HPには書かれていなかったり、情報が古かったりします。特にC値・UA値はHPに書かれていない事が多いです。その点、カタログにはハウスメーカーを選ぶために必要な情報がバッチリ載っています。
特に外観デザインや内装のデザイン、キッチンや浴室の見た目などは実際の画像を見ない事には分からないと思いますが、カタログであれば写真付きで載っていますので、生活を送る具体的なイメージが湧いてきます。
その為、ハウスメーカーを選ぶ時には必ず最新カタログを取り寄せカタログに載ってある情報で比較検討をするようにしましょう。
耐震等級3のハウスメーカーで家を建てる時にしておく事
ハウスメーカーに依頼をして耐震等級3の家を建てても、公的な証明書がなければ耐震等級3のメリットである地震保険の50%オフやフラット35SのAタイプの金利優遇などを受ける事はできません。
公的な証明書を受け取る為に申請費用や検査費用がかかりますが、保険料のオフや金利優遇で受けられる金銭的メリットの方が大きい時には忘れずに申請をおこないましょう。
また証明書があれば売却時にもプラスに働くので高く売れる可能性があります。
公的な証明書の取得
耐震等級3と公的に証明するためには以下にあげる証明書、どれかを取得する必要があります。
◦住宅性能評価書(設計・建設)
┗◦住宅性能証明書
◦長期優良住宅 認定通知書
◦フラット35適合証明 など
それぞれの証明書がどういった物なのか簡潔にご説明しておきたいと思います。
住宅性能評価書(設計・建設)
第三者機関が住宅の設計や施工について客観的な評価・表示をする「住宅性能表示制度」というものがあり、その結果が記された書類を「住宅性能評価書」と呼びます。
住宅性能評価の評価項目は10項目あります。その内4つは必須項目で、残りの6項目は依頼をする人が任意に選ぶ事が出来ます。評価する項目を増やせばその分費用も増えます。評価項目は下記の通りです。
性能評価の分野 | 主な評価内容 | 等級 |
---|---|---|
★1.構造の安定 (耐震性) | 地震・風・積雪に対しての建物の強さを評価 | 耐震等級、耐風等級、耐積雪等級 |
2.火災時の安心 | 火災の早期発見のしやすさ、外部からの延焼に対する耐火性を評価 | 耐火等級 |
★3.劣化の軽減 (耐久性) | 柱や土台の劣化の進行を遅らせるための対策を評価 | 劣化対策等級 |
★4.維持管理・更新への配慮 | 排水管・水道管・ガス管の点検・清掃・修繕のしやすさを評価 | 維持管理対策等級 |
★5.温熱環境・エネルギー消費量 (省エネ性) | 建物の冷暖房を効率的に行う為の断熱などの省エネ対策を評価 | 断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級 |
6.空気環境 | 室内への有害物質の発散量、換気対策を評価 | – |
7.光・視環境 | 室内の明るさを、部屋の広さに対する窓の大きさの割合で表示 | – |
8.音環境 | 開口部の遮音性能や、共同住宅の上下又は隣接する住戸への音の伝わりにくさを評価 | 透過損失等級 |
9.高齢者への配慮 (バリアフリー性) | 高齢者や子供が暮らしやすいよう、バリアフリーの程度を評価 | 高齢者等配慮対策等級 |
10.防犯 | 犯罪者が住宅に侵入しないよう、開口部に対策がとられているかを評価 | – |
住宅性能評価書には「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類があります。
「設計住宅性能評価書」は設計図面を元に、施主が求めている性能通りに設計がされているかを評価し交付されます。「建設住宅性能評価書」は設計図面通りに施工がされているかを現場検査で確認をし交付されます。
住宅性能評価書の取得のさいにかかる費用は約20万円~30万円程度です。
・住宅の性能が等級や数値などでわかりやすく確認が出来る。
・第三者機関による現場の施工チェックが受けられる。
・すまい給付金の申請書類に使える
・贈与税の非課税枠が拡大される
・万一建築会社等とトラブルになった場合、住宅専門の紛争機関が間に入り対応してくれる。手数料も1件あたり1万円と格安で済む。
住宅性能証明書
住宅性能証明書は住宅性能評価書の簡易版です。住宅性能評価の評価項目の1部にあたる1.耐震性、5.省エネルギー性、9.バリアフリー性の3項目を抜き出して設計図面と現場確認で評価し交付されます。
抜き出した3項目の評価結果は住宅性能評価と同等であると証明する書類が住宅性能証明書です。住宅性能証明書の取得にかかる費用は約15万円程度です。
長期優良住宅 認定通知書
長期優良住宅 認定通知書とは長期優良住宅の認定を受ける時に必要となる証明書です。長期優良住宅の認定基準の中に耐震性が含まれているので、その項目で耐震等級3と認定されていれば問題ありません。
長期優良住宅 認定通知書を取得するのにかかる費用や約15万円程度です。
フラット35適合証明
フラット35適合証明とは、フラット35の利用が可能かどうかを確認する為の書類です。第三者である検査機関所属の建築士資格を持った専門家が技術基準に適合しているかを検査します。
フラット35適合証明を取得するのにかかる費用は約5万円~10万円程度です。
公的な証明書の申請方法
各種証明書の申請は個人でも出来ますが、様々な計算書や設計図面の準備、専門的な知識も必要となってくるのでハウスメーカー側に依頼をするのが一般的です。
公的な証明書が欲しいという相談は出来るだけ早めにおこないましょう。例えば、長期優良住宅の認定通知書は建てる前に申請をして認定を受けてからの着工になります、着工後には申請をする事が出来ないので注意しておきましょう。
具体的な金額はハウスメーカー毎に異なるので、費用がどの位必要なのかの確認もしておきましょう。
まとめ
耐震等級3対応の地震に強いハウスメーカーの紹介や、耐震等級3″相当"には注意や、耐震等級3の必要性、メリット・デメリットなどご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
耐震等級が3であれば大きな地震が起きても倒壊・全壊の被害はなく、殆どの家が無被害ですんでいます。地震の多い日本では人命を守る為に、財産である家を守るために耐震等級3を確保するのが望ましいです。
その時にチェックすべきポイントが性能表示計算か許容力度計算で算出された耐震等級であるかという点です。簡易な壁量計算で求められた耐震等級3″相当"では安全性に疑問が残るので忘れずに確認をするようにしましょう。
今後も耐震性能の重要性は変わりませんが、家づくりを行う上でチェックしておきたい性能は耐震性能だけではありません。快適に暮らす為には断熱・気密性能も大切です。
他にも価格はもちろん外観や内装のデザイン、住宅設備や保証内容などチェックすべき点は多くあります。耐震性能も大切ではありますが、1つの性能だけでハウスメーカーを決めるのではなく、総合的に判断をして自分に1番合ったハウスメーカーを見つけましょう。
素敵なマイホームづくりを応援しています。
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