【年収300万円、頭金なしでマイホーム】住宅ローンはいくらまで借りられる?
家づくりを行う時に殆どの方が利用する「住宅ローン」。
「自分の年収ではいくらまで借りられるんだろう?」と多くの方が気になると思います。そこで当記事では、"年収300万円+頭金なし"の方がいくらまで住宅ローンを借りられるのかに焦点を充てて説明していきたいと思います。
そもそも年収300万円、頭金なしで住宅ローンは組めるのか?
結論から言うと、年収300万円+頭金なしでも住宅ローンを組む事は可能です。
ただし、年収の額によって審査に通りやすい、通りにくいはあります。また、住宅ローンの審査では以下のようなポイントが重要視されます。
・借入時の年齢
・完済時の年齢
・返済負担率
・勤続年数
・健康状態
年齢は若い方が審査には有利で、返済負担率(収入に占める年間の返済額の割合)は低い方が有利です。
年収が300万円でも安定した収入があるか、が重要視されますので勤続年数も長い方が良く、健康状態も良好である方が有利となります。
頭金に関しては、頭金なしでも住宅ローンを組む事は可能ですが、頭金がある場合と比べると借入金額が増えて、返済負担率が上がるので審査が厳しくなる事もあります。
ちなみに頭金なしで住宅ローンを組んだ方の割合および、頭金ありの場合の金額の割合は以下の通りです。
頭金の額 | 割合 |
---|---|
頭金なし | 16.9% |
1円~300万円未満 | 38.5% |
300万円~500万円 | 15.9% |
500万円~1000万円 | 16.4% |
1000万円~2000万円 | 8.1% |
2000万円以上 | 4.1% |
年収300万円でいくらまで借りられる?
では年収300万円でいくらまで借りられるのか、各金融機関での借入可能額を確認していきたいと思います。
<シミュレーション条件>
・年収:300万円
・融資金利:年1.880%
・返済期間:35年
・返済方法:元利均等
・他の借入金:0万円
借入可能額:2,306万円
<シミュレーション条件>
・年収:300万円
・返済期間:35年
・金利:年1.485%
借入可能額:2,270万円
<シミュレーション条件>
・年収:300万円
・返済期間:35年
・返済方法:元利均等返済
・金利:年1.99%
借入可能額:1,750万円
<シミュレーション条件>
・年収:300万円
・返済期間:35年
・その他のお借り入れ:なし
借入可能額:2,100万円
<シミュレーション条件>
・年収:300万円
・借入期間:35年
・他のお借入金年間返済額:0万円
・返済方法:元利均等返済
借入可能額:2,306万円(フラット35)/2,145万円(金利選択型)
各金融機関でシミュレーションした結果、年収300万円での借入可能額は1,750万円~2.306万円という結果になりました。
(※あくまでシミュレーションであり、上記金額が必ず借入可能という訳ではありません。)
安全な借入額はいくら?
上記のシミュレーション結果はあくまで"借入可能額"です。
年収は同じ300万円でも人によって毎月の支出は異なります。その為、借入可能額MAXで借りるのではなく、月々幾らまでなら無理なく返済出来るかを算出して借入額を決める必要があります。
一般的に理想的な返済負担率は20%~25%と言われています。返済負担率は総収入からの割合ではなく"手取り額"からの割合で考える方がより安全です。
会社勤めの方の場合、手取り額は給与のおよそ8割と言われています。
年収300万円であれば、毎月の総支給額は25万円、手取りは20万円となりますので理想的な毎月の返済額は4万円~5万円です。
返済額4万円~5万円で算出したフラット35の借入可能額は1,230万円~1,537万円です。
つまり年収300万円で安全な借入額は1,230万円~1,537万円となります。
(※金額はあくまで目安です。自分に合った資産計画を立てる事が大切です。)
住宅ローン審査に通るコツ
前述の通り、年収の額によって住宅ローン審査が厳しくなる可能性があります。そこで、ここでは年収300万円で住宅ローンの審査に通りやすくなるコツを幾つかご紹介致します。
◦フラット35を利用する
住宅ローンの審査を通すには、借りるのに敷居の低い金融機関やプランを利用するのが大切です。
フラット35は民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンで、民間で取り扱っている他の住宅ローンに比べると審査基準が緩やかとなっています。
◦収入合算で申し込む
収入合算とは、一定の収入のある親族の収入を申込者の収入に合算してローンを組む方法です。
合算した金額をもとに審査を受けるので単独では通らなくても収入合算により審査に通る事もあります。
また、合算する人の年収の約2.5倍の融資額の追加が出来るので借入可能額を増やす事も出来ます。
◦ペアローンで申し込む
ペアローンとは、一定の収入のある同居親族とそれぞれが主たる債務者としてローンを組む方法です。
収入合算では追加分の年収の約2.5倍までしか融資額を増やせないのに対してペアローンではそれぞれが債務者としてローンを組むのでそれぞれの年収の約5倍まで融資額の追加が可能なので借入可能額を大幅に増やす事が出来ます。
収入合算には連帯保証型と連帯債務型があります。
収入合算 (連帯保証型) | 収入合算 (連帯債務型) | ペアローン | |
申込者 | 夫と妻、どちらかが債務者 | 夫と妻、どちらかが主債務者 一方が連帯債務者 | 夫と妻、それぞれが債務者 |
連帯保証人 | 債務者でない方 | – | お互いがそれぞれの保証人 |
団信加入 | 債務者のみが加入 | フラット35:それぞれが加入 その他:主債務者のみが加入 | 夫と妻、それぞれが加入 |
住宅ローン控除 | 債務者のみが適用 | 夫と妻、それぞれが適用 | 夫と妻、それぞれが適用 |
名義 | 債務者の名義 | 共有名義 | 共有名義 |
収入合算のメリットは、主債務者はどちらか一方となるので片方の責任は軽減される事や、連帯保証型の場合は団信への加入が債務者のみなので、万が一債務者が死亡や高度障害に陥れば、保険金により住宅ローンの残高全額が支払われます。
デメリットとして借入可能額がペアローンほど増やせない事や、連帯保証型の場合債務者が返済困難となった場合、連帯保証人が肩代わりする必要がある事、連帯債務型でその他の金融機関の場合、団信への加入は主債務者のみなので、連帯債務者が死亡や高度障害に陥ってもローン返済は保証されません。
ペアローンのメリットは、借入可能額を増やせる事やそれぞれが団信へ加入できる事、それぞれが住宅ローン控除を利用出来る事などがあります。
デメリットは、どちらかが退職した場合片方の負担が増える事や、どちらかが死亡や高度障害に陥っても片方分のローン返済しか保証されない事や、ローンをそれぞれで組むので手続きに必要な諸費用が2倍になります。
◦頭金を用意し借入額を抑える
借入額を少なくする事で審査は通りやすくなります。
頭金なしで住宅ローンを組むメリット&デメリット
メリット
◦「買いたい」と思ったタイミングで直ぐに動ける
条件に合う土地というのは中々見つからず、運よく見つかっても購入までに期間が空けばその間に誰かに買われてしまう事もあります。
頭金なしの場合は、頭金を貯める期間が必要ないので良い土地が見つかった場合など直ぐに動けるのがメリットです。
◦自己資金を減らさずに済む
自己資金についての詳細は後述していますが、頭金を入れると自己資金は目減りしてしまいます。
頭金なしにする事で自己資金が減らずに済みますので「手付金」や「諸費用」に回せるお金を確保しやすくなります。
◦早い時期から返済が始められる
35年ローンで65歳の定年以前に完済する為には30歳以下で住宅ローンを組む必要があります。定年までに完済が難しい場合でも、返済開始時期は早い方が期間も長くとれて、毎月の返済額を抑えられるので負担が小さくなります。
十分な頭金が貯まるまで待ってから住宅ローンを組むよりも、早い時期から返済をスタートし完済時期を早める方がお得である事が多いです。
また、賃貸暮らしの方であれば頭金を貯めている期間も家賃が発生するので頭金なしで直ぐに購入した方がお得になるケースもあります。
◦住宅ローン控除を最大限利用しやすい
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が最大13年間、所得税(一部は住民税)から控除される制度です。
年末のローン残高により控除される金額が変わりますので、頭金なしで借入金額が増えた事によって控除額が増えるといったメリットもあります。
デメリット
◦借入金利が高くなる場合がある
フラット35では頭金が1割以上の場合と1割以下の場合とで異なる金利が適用されます。民間の銀行でも頭金の割合で適用金利が変わる事があるので金利差がどの程度かチェックしておきましょう。
◦毎月の返済額が増える&金利上昇リスクの影響が大きくなる
頭金なしなのでその分借入額が膨らみます。借入額が増えると返済額も増えるので毎月の経済的負担が増えてしまいます。
また変動金利を選んだ場合、金利上昇のリスクは借入金額が大きい程影響を受けるので、金利上昇により負担増加に繋がる可能性があります。
◦審査が不利になる事も
頭金なしで住宅ローンを組んだから審査に落とされる、という事はありませんが、頭金なしでローンを組む事で借入額が増え、済負担率が上がり、その結果審査に落とされる可能性はあります。
頭金なしでも自己資金は必要
頭金なしでも住宅ローンを組む事は出来ますが、マイホームの購入には自己資金(手持ちのお金)は必要です。
自己資金とは「頭金」+「手付金」+「諸費用」を合わせた資金の事です。
一般的に頭金は建物価格にあてられるお金の事を指します。(建物価格-住宅ローンの借入金=頭金)その為、住宅ローンの借入金で建物価格を賄えるのであれば頭金なしでも問題ありません。
ただし、マイホームの購入には「頭金」以外の自己資金(「手付金」+諸費用)が必要となります。
手付金とは
手付金とは不動産(土地や建物等)の売買契約を結ぶ際に買主から売主にたいして支払うお金の事です。
土地の購入も必要な注文住宅の場合は、土地の購入時と建物の工事契約時の2度手付金を支払う必要があります。
手付金には主に3つの役割があります。
・証約手付
契約が成立した事を証明する役割です。
・解約手付
契約成立後に契約を解除できる役割です。ただし、買主の事情で契約を解除した場合は支払った手付金は戻ってきません。
殆どありませんが、売主の事情で契約を解除された場合は手付金の2倍の金額を受け取る事が出来ます。
・違約手付
何かしらの契約違反(債務不履行)が発生した際に、損害賠償とは別に違約金として支払われる役割です。
解約手付と同様に買主の場合は手付金の放棄。売主の場合は手付金の2倍の額を違約金として支払う必要があります。
契約後に何も問題が無ければ、支払った手付金は土地代や建物建築費にそのまま充てられます。
手付金は契約成立後のトラブルから買主・売主の両者を守るために存在しており、"現金"で支払う必要があります。
手付金の相場
売主が不動産会社の場合、売買価格の20%が上限と法律で決まっていますが、一般的には5%~10%である事が多いです。
例えば1000万円の土地に1500万円のマイホームを建てるとなると、土地の手付金として50万円~100万円+建物の手付金として75万円~150万円を自己資金として用意しておく必要があります。
諸費用とは
諸費用とは土地や建物の購入、住宅ローンの借入時などの手続きにかかる費用の事です。主な諸費用は以下の通りです。
■住宅ローン利用時にかかる諸費用
・事務取扱手数料
・契約書に添付する印紙代
・ローン保証料
・団体信用生命保険料
・火災保険料、地震保険料 etc
■土地購入時にかかる諸費用
・契約書に添付する印紙代
・不動産取得税
・登録免許税
・仲介手数料 etc
■家を建てる時にかかる諸費用
・地盤調査費用
・建築確認申請費用
・契約書に添付する印紙代
・不動産取得税
・登録免許税
・建築設計費
・地鎮祭、上棟式にかかる費用 etc
諸費用の中には住宅ローンの借入額に含む事が出来る費用もありますが、可能な費用は一部だけなので基本的には自己資金で用意しておく必要があります。
諸費用の相場
注文住宅の場合、諸費用は購入価格の5%~10%位が相場です。土地(1000万)+建物(1500万)の場合、諸費用は125万円~250万円位必要になります。
更に引越し代や家具・家電・インテリアなどの購入費用も必要になってきますので+50万円~100万円程度は見ておいた方が良いでしょう。
マイホームを建てる時に用意しておきたい自己資金の金額
自己資金の内、「頭金」はなしでも良いので、用意しておきたい自己資金は「手付金」と「諸費用」+引越し代や家具・家電購入費用です。
仮に土地代(1000万円)+建物代(1500万円)とした場合、用意しておきたい自己資金の金額は250万円~500万円+引越し代や家具・家電購入費用分となります。
注意点
◦購入後の事も考えて貯金は残しておく
家は購入した後もランニングコストがかかります。固定資産税などの税金もかかりますし、家のメンテナンス・修繕費にもお金がかかります。
その為、家を買うのに貯金をすべて使い切らずにどの位残しておく必要があるのかも考慮して資金計画を立てましょう。
◦減税制度・補助金制度を有効活用する
代表的なものとして「住宅ローン控除」や「こどもエコすまい支援事業」、「ZEH支援事業」などがあります。他にも各自治体がオリジナルで行っている補助金制度なども存在します。
有効活用する事で数十万円~数百万円は差が出ます。条件を満たしているのに使わないのは勿体ないので、受けられる減税制度・補助金制度にはどのような物があるか必ずチェックしておきましょう。
自分で調べるのが面倒だったり、調べてもよく分からないという時はプロに相談するのが確実です。
まとめ
年収300万円、頭金なしで住宅ローンはいくらまで借りられるか?に焦点を充てて、借入可能額や安全な借入額、頭金なしで住宅ローンを組むメリット&デメリットなどを紹介してきました。
年収300万円でも住宅ローンを組む事は出来ますし、自己資金があればマイホーム購入も可能です。
資金計画のより具体的な相談先はオンライン相談を利用するか、ローコスト住宅を得意としているハウスメーカーに問い合わせするのが良いです。
素敵な家づくりを応援しています。
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