【ビルトインガレージのある三階建ての家】間取りや価格相場
注文住宅でも人気の高いビルトインガレージですが、地価の高い都心部や都心部周辺、狭小地に建てる場合などは一階をガレージとし二階・三階を居住スペースとする三階建てのビルトインガレージが人気です。
そこで当記事では三階建てのビルトインガレージ付きの家の建築実例や間取り、価格相場の紹介と共に、
車1台と2台とで必要なガレージのサイズの比較や、ビルトインガレージのある三階建てのメリットやデメリット、建てる前に知っておきたい注意点などもご紹介していきたいと思います。
ビルトインガレージとは
三階建てのビルトインガレージのあれこれをご紹介する前に、ビルトインガレージの定義を先に記載しておきたいと思います。
一般的に戸建てに設ける駐車場は3種類に分かれます。
◦青空駐車場・・・屋根なし。囲う壁も無し。駐車スペースのみ
◦カーポート・・・柱と簡易的な屋根だけで構成された駐車場
◦ガレージ・・・屋根と壁で三方が囲まれた駐車場。シャッター付きで四方が囲まれている駐車場も含む。
つまりビルトインガレージとは、ガレージが建物の1部に組み込まれている駐車場の事で、そうした住宅の事をガレージハウスと呼びます。
ビルトインガレージはインナーガレージとも表現される事がありますが同じ意味です。
ビルトインガレージの広さ
車1台分を駐車するビルトインガレージの広さと、車2台分を駐車するビルトインガレージの広さは当然異なります。
では、それぞれどの位の広さを確保すれば良いのかみていきたいと思います。
駐車場の広さの基準は国土交通省が定める「駐車場設計・施工指針について」で決められています。
対象車両 | 奥行き | 幅 | 高さ |
---|---|---|---|
軽自動車 | 3.6 | 2.0 | 2.1 |
小型乗用車 | 5.0 | 2.3 | 2.1 |
普通乗用車 | 6.0 | 2.5 | 2.2 |
小型乗用車:サイズ「長さ4.7m以下×幅1.7m以下×高さ2.0以下」、排気量2,000cc以下(ディーゼル車は制限無)が対象、5ナンバーの車で中型車、一部のミニバンなども該当。
普通乗用車:サイズ、排気量ともに小型乗用車よりも大きい車が対象。3ナンバーの車で一部の中型車やミニバン、SUV、大型車なども該当。
ビルトインガレージは建てた後にサイズを変更するのが困難なので、基本的に建てる時には普通乗用車のサイズに合わせて設計を行います。
基準となる広さにプラスしてガレージ内で整備や作業が行えるスペースや、整備道具などを収納できるスペース、人が通れる幅などを追加して設計する事でより使い勝手の良いガレージとなります。
更にガレージ後方にはバックドアを開閉できるスペースも確保しておきましょう。
こうした追加分のスペースも加味すると奥行きは6.0~6.5(m)、幅は2.5~2.8(m)ほど確保しておくと良いです。
◦車1台分を停められる使い勝手の良いガレージの広さ
6.0~6.5(m)×幅:2.5~2.8(m)=15~18.2(㎡)=約4.54~約5.51(坪)
つまり車1台を停めるのに必要なビルトインガレージの広さは、上記の中央値をとって約16.5(㎡)/約5(坪)程度必要だと言う事が分かります。
車2台駐車出来る広さのガレージを設ける時は単純に2倍して約33(㎡)/約10(坪)程度必要だと言う事が分かります。
その為、車2台駐車可能なビルトインガレージ付きの三階建てを建てるとなると最低でも延床面積は約100(㎡)/約30(坪)は確保できる敷地でないと難しいです。
ビルトインガレージのある三階建ての家に必要な広さは?
家の広さの水準も国土交通省の「住生活基本計画」内で定められています。
単身 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | |
---|---|---|---|---|
最低居住面積水準 | 25㎡ (約7.6坪) | 30㎡ (約9.1坪) | 40㎡ (約12.1坪) | 50㎡ (約15.1坪) |
誘導居住面積水準 | 55㎡ (約16.6坪) | 75㎡ (約22.7坪) | 100㎡ (約30.3坪) | 125㎡ (約37.8坪) |
最低居住面積水準:健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準。
誘導居住面積水準:豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準。
「住生活基本計画」に載ってある説明では分かり難いので、簡単に説明すると最低居住面積水準はこれ以上狭いと生活が不便になるので推奨しませんという水準です。
誘導居住面積水準は、この位の広さがあれば快適に暮らせますよという水準です。
例えば100㎡(約30.3坪)の延床面積があれば3人世帯が快適に暮らせる広さがある事が分かります。
しかし、ビルトインガレージの場合はガレージの広さも考慮しなければなりません。車1台分の広さを確保する場合は+16.5㎡(約5坪)、2台分であれば+33㎡(約10坪)を加えて考えるようにしましょう。
(※国土交通省が定める誘導居住面積水準は割と余裕のある基準なので、-10%~-15%程度の広さでも実際は十分快適な広さだったりもします。)
ビルトインガレージのある三階建ての家の価格相場
ビルトインガレージのある三階建ての家の平均坪単価は50万円~80万円ほどです。ただし坪単価は延床面積が小さい程高くなる傾向にあります。
これは、延床面積が小さくなってもキッチンやバスルーム、トイレなど水廻りを含む住宅設備は同じように必要で、水廻りなどの設備は他の場所に比べ建築費用が割高です。
その為、延床面積が小さくなる程に坪単価は高くなる傾向にあります。
おおよそですが、20坪であれば70万円~80万円、25坪であれば65万円~80万円、30坪であれば60万円~80万円、35坪であれば55万円~80万円、40坪であれば50万円~80万円程度になると思われます。
つまり、ビルトインガレージのある三階建ての家の価格相場は下記の通りです。
坪数 | 坪単価 | 価格 |
---|---|---|
20坪 (66.1㎡) | 70万円~80万円 | 1,400万円~1,600万円 |
25坪 (82.6㎡) | 65万円~80万円 | 1,625万円~2,000万円 |
30坪 (99.2㎡) | 60万円~80万円 | 1,800万円~2,400万円 |
35坪 (115.7㎡) | 55万円~80万円 | 1,925万円~2,800万円 |
40坪 (132.2㎡) | 50万円~80万円 | 2,000万円~3,200万円 |
45坪 (148.8㎡) | 50万円~80万円 | 2,250万円~3,600万円 |
50坪 (165.3㎡) | 50万円~80万円 | 2,500万円~4,000万円 |
ガレージにかかる価格
ガレージにかかる価格を見ていきたいと思います。
台数 | 広さ | 坪単価 | 価格 |
---|---|---|---|
1台 | 5坪 (16.5㎡) | 50万円~80万円 | 250万円~400万円 |
2台 | 10坪 (33.1㎡) | 50万円~80万円 | 500万円~800万円 |
地価の高い都心部では、狭小地の為に駐車場を確保出来ずに別に借りている方も多くいますが、ビルトインガレージであれば月々の駐車場代を0にする事が出来たり、
駐車スペースの為の土地を必要としないので、土地代を抑える事が出来ます。
建築時に初期費用はかかりますが、長い目でみるとトータルコストを抑えられたり、利便性の高さや格好良さに惹かれてビルトインガレージを採用する方が多いです。
ビルトインガレージのある三階建ての家の間取り
三階建てでビルトインガレージのある家の建築実例を約20坪、約30坪、約40坪と延床面積別でご紹介したいと思います。
参照元:suumo
1,400万円台で叶えたビルトインガレージのある家
◦内外観
◦間取り(1LDK)
落ち着いた色合いの1色でまとめ、4連窓がスタイリッシュな外観が特徴的です。
ガレージ内に玄関を設置。玄関ホールにガラス窓を設置し、室内からでも愛車を眺める事が出来ます。また一階には洗面室・浴室も配置しており、玄関から直接浴室に行く事が出来ます。
三階部分は殆どをルーフバルコニーとして活用。BBQや青空リビングとしても楽しめる間取りです。
本体価格 | 1,455万円(68.4万円/坪) |
延床面積 | 70.37㎡(21.2坪) |
敷地面積 | – |
工法 | 木造軸組 |
車+バイク+自転車も入れられる大型ガレージのある家
◦内外観
◦間取り(2LDK)
ラーメン構造「木造門型フレーム」を採用する事で大開口・大空間ガレージを実現しています。
ガレージ内部、片側の壁面にはアウトドア・キャンプ用品などを置ける棚を設置。もう片側の壁面にはバイクや自転車を置いて置けるスペースを確保しています。
一階はガレージのみとなっており、二階に寝室やトイレ・浴室。三階は開放感あるLDKとなっています。
本体価格 | 2,300万円(74.0万円/坪) |
延床面積 | 102.83㎡(31.1坪) |
敷地面積 | 60.79㎡(18.3坪) |
工法 | 木造軸組 |
無垢スギをたっぷり使ったナチュラルテイストの家
◦内外観
◦間取り(4LDK)
縦分けのツートンカラーで個性が光る特徴的な外観です。ビルトインガレージと別に青空駐車場も備えています。
ガレージはワイドサイズのスポーツカーも難なく格納できる広さを確保。ガレージには玄関ホールからも直接行き来が可能な間取りとなっています。
本体価格 | 2,000万円(50.0万円/坪) |
延床面積 | 132.48㎡(40.0坪) |
敷地面積 | 99.19㎡(30.0坪) |
工法 | 木造軸組 |
動線も良く車2台を格納可能なビルトインガレージのある家
◦内外観
◦間取り(3LDK)
黒色をベースとし、ガレージの天井には木目を採用、玄関まわりの壁は白色にする事で重すぎずバランスのとれた配色が特徴的な外観です。
ガレージは車2台格納できる広々サイズ。ガレージから繋がる外部収納も備え、収納力は抜群です。
二階にはLDKの他に洗面室・浴室も配置され家事動線も考えられた生活のしやすい間取りです。
本体価格 | 2,500万円(59.2万円/坪) |
延床面積 | 139.63㎡(42.2坪) |
敷地面積 | 66.18㎡(20.0坪) |
工法 | 木造軸組 |
2方向から車3台格納できるビルトインガレージのある家
◦内外観
◦間取り(4LDK)
1枚目の写真は西側から見た外観。車1台分のビルトインガレージが設けられています。2枚目の写真は南側から眺めた外観。車2台を格納できるビルトインガレージが設けられています。
見る角度によって異なるデザインとなる外観が特徴的です。
リビングは二階に配置。三階には子供部屋と寝室、そしてBBQなども楽しめるバルコニーも設置された魅力あふれる間取りです。
本体価格 | 3,000万円~3,499万円 (61.9万円~72.2万円/坪) |
延床面積 | 160.35㎡(48.5坪) |
敷地面積 | 108.61㎡(32.8坪) |
工法 | 木造軸組 |
坪数別の主流な間取り
延床面積が20坪台のビルトインガレージのある三階建ての家の間取りは2LDK~3LDKの間取りが主流となります。
ワンフロアが7坪~9坪位になるので、各部屋あまり大きなサイズを確保するのは難しいです。広さに限りがあるので動線の考えられた間取り作成が必須となります。
30坪台であれば、3LDK~4LDKの間取りが主流です。
ガレージの広さが車1台分で良ければ一階にガレージ以外の居室を配置する事も可能となります。
40坪台であれば、30坪台と変わらず3LDK~4LDKの間取りが主流ですが、各部屋共に30坪台よりも広く設計が可能です。
車1台分のガレージであれば、例えば一階に洗面室・浴室・トイレ+居室+大型収納、二階に15畳程度の開放的なLDKや三階に約6畳程度の居室を3部屋確保なども出来る広さです。
4人世帯でも快適な生活を送れる広さがあります。
自分に合ったオンリーワンな間取りで家を建てるには、条件や希望に沿って作って貰った間取りプランをより多く見比べる事です。
1社2社だけの間取りプランでは、その間取りが本当にベストなプランなのか対象が少なすぎて比較が出来ません。同じ条件で作成してもらった出来るだけ多くの間取りプランを見比べる事で始めて自分に合った最適な間取りが見えてきます。
複数社から間取りプランを集めると、A社とB社とC社の良いとこ取りをしたハイブリッド間取りなんかも作る事が出来ます。
家づくりにおいて間取りはとても大切なポイントとなるので必ず複数社から間取りプランを貰い比較・検討をするようにしましょう。
play_circle オリジナルの間取りプランを作成するビルトインガレージのある三階建ての家のメリット
ビルトインガレージ自体のメリットや、一階部分をガレージとした三階建て住宅のメリットなども合わせてご紹介していきます。
雨や雪・雹や強風などから愛車を守れる
ビルトインガレージの場合、三方が壁に囲まれており前方にシャッターを付ければ外部と隔離された空間になるので雨や雪・雹や強風などから愛車を守る事ができます。
砂塵や黄砂、チリ・ホコリ・花粉・PM2.5などの汚れが付着するのも防いでくれるので洗車の回数を減らす事も出来ます。
台風の時に何かが飛んで来て車に当たるリスクや、近所の子供がボール遊びをしていて故意でなくても車に当たってしまうリスク等、予期せぬリスクからも愛車を守ってくれます。
また、ボディの塗装が色褪せたりライトの黄ばみやレザーシートなどの内装が傷む原因となる紫外線もカット出来たり、直射日光が当たらないので、真夏に車に乗ろうとした時のうだるような暑さも防げます。
愛車に長く綺麗に乗る為にはビルトインガレージが最適です。
車への乗り降りや荷物の出し入れが楽
多くのビルトインガレージはガレージ内に玄関を設けたり、勝手口を付けてガレージから直接家の中へと入れる間取りにする事が多いです。
室内から直接ガレージへ行き来が出来るので、雨の日でも濡れる事なく車の乗り降りが可能となります。家から車までの距離もとても近いので移動も楽です。
車に何か荷物を積む時も、買い物から帰ってきて荷物を下ろす時もビルトインガレージであればとても楽に荷物を運べます。
防犯性が高い
シャッターを付けて下ろしておけばガレージ内の様子を外から伺う事は出来ません。
ガレージ内に部外者が入ってくる事も出来ないので車やバイク、自転車などを盗難や悪戯から守ってくれます。
また一般的な住宅に比べると、ビルトインガレージのある家の一階は大部分がガレージとなるので大きな窓が少なかったりします。
外部からの侵入経路が限定されるので、そういった意味でも防犯性を高める事が出来ます。
収納スペースやプライベート空間としても使える
ガレージの広さに余裕があれば車以外にも自転車や三輪車、ベビーカー、アウトドア用品など家の中にしまうのが難しいモノを保管しておくスペースとしても利用ができます。
また、車を移動させれば空いたスペースでBBQを楽しんだり、DIYをしたり、子供やペットの遊び場としても使用が可能です。
シャッターを下ろしてしまえば完全プライベート空間として使えるので、夏場にはプールを置いて子供たちを遊ばせる事も出来ます。
狭小地でも駐車場を確保できる
一階をガレージにする事で狭小地でも駐車場を確保する事が出来ます。三階建てであれば居住スペースも十分に確保がしやすいです。
狭小地の為、青空駐車場もカーポートの設置も難しく別途駐車場を借りている方もいますが、地価の高い都心では月の駐車場代が数万円する事もあります。
ビルトインガレージであれば、そうした月々の負担も解消する事が出来ます。
駐車場としての敷地を確保する必要がないので、その分土地の購入費用も抑える事が出来ます。地価の高い都心部などでは大きなメリットとなります。
フロア毎に目的を応じた居室を設計しやすい
二階建てよりも三階建ての方がフロア毎に目的に応じた居室を設計しやすいです。
例えば一階をガレージ兼玄関+趣味の部屋に、二階を生活の拠点としてリビング+水廻りを集約させ、三階には寝室や子供部屋を配置するなど、より快適な暮らしを実現させやすいです。
また三階建ての場合、陸屋根を導入する事が多いので屋上テラスも作りやすく、屋上テラスでガーデニングを楽しんだり、子供やペットの遊び場として利用したり、洗濯物を干したり様々な用途で活用できます。
容積率の緩和措置の対象となる
容積率:敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。容積率150%の200㎡の敷地の場合、その敷地内に建てられる建物の延床面積は上限300㎡となります。
容積率は延床面積÷敷地面積×100で算出されます。
屋根なしの青空駐車場の場合は容積率を計算する際の延床面積に含まれませんが、ビルトインガレージは3面を壁に囲まれ天井もあるので延床面積に含まれます。
ただしガレージの床面積は、ガレージ部分を含めた建物全体の延床面積の5分の1を上限に容積率対象延床面積から除外することが出来るという緩和措置があります。
例えば、
Aパターン)敷地面積:100㎡ 全体延床面積:125㎡(ガレージの床面積:33㎡(車2台分)を含む)の容積率を求める場合、全体延床面積:125㎡の5分の1にあたる25㎡を除外して計算します。
つまりこの場合の容積率は
(125㎡(全体延床面積)-25㎡)÷100㎡(敷地面積)=100%
となります。
Bパターン)敷地面積:100㎡ 全体延床面積:125㎡(ガレージの床面積:17㎡(車1台分)を含む)の容積率を求める場合、全体延床面積:125㎡の5分の1にあたる25㎡はガレージの床面積よりも大きいので、ガレージの床面積:17㎡がすべて除外されます。
つまりこの場合の容積率は
(125㎡(全体延床面積)-17㎡)÷100㎡(敷地面積)=108%
となります。
これがビルトインガレージの無い、一般的な住宅だとどうなるのか見ていきたいと思います。
敷地面積:100㎡ 全体延床面積:125㎡の容積率は
125㎡(全体延床面積)÷100㎡(敷地面積)=125%
となります。
この土地の容積率の上限が130%であった場合、一般的な住宅であれば、ほぼ上限に達していますがビルトインガレージのある家の場合は上限までまだまだ余裕があるので全体延床面積を増やしても建築可能な水準となります。
つまり、ビルトインガレージのある家は容積率の緩和措置により、同じ容積率の敷地内に建物を建てる場合、一般的な住宅よりも延床面積の上限が広くなります。
快適な環境下で車弄りや車鑑賞を楽しめる
雨の日でも濡れる事なく作業をする事が出来ます。またガレージも家と同じ断熱施工で、空調設備も整えれば夏でも冬でも快適な環境下で作業に没頭する事が出来ます。
ガレージと室内を隔てる壁の一部をガラスにする事で家の中からでも車やバイクを鑑賞する事ができます。車やバイク好きにはたまらない間取りを作る事が可能です。
ビルトインガレージのある三階建ての家のデメリット
上記で紹介したメリット同様にビルトインガレージ自体のデメリットと、一階部分をガレージとした三階建て住宅のデメリットも合わせてご紹介していきます。
二階建てより建築費用が高くなる
ビルトインガレージの場合、一階に車の出入りに必要な大きな間口を設けるのでどうしても建物の耐震性が下がってしまいます。
その為、柱や梁を太くしたり、強度の高い建材を使用したり特殊なフレームを組むなど、耐震性確保の為の特別な設計が必要になります。
三階建ての場合は二階建てよりも耐震補強をより強力に行う必要がありますので、建材のグレードや使用する量が増える事から建築費用が高くなります。
耐震性能も確保しつつ、希望の間取り通りに建てるとなると三階建てのビルトインガレージは経験豊かで確かな技術をもっている住宅会社でないと難しい施工となります。
三階建てのビルトインガレージ付きの家を検討されている方は、下記のビルトインガレージを得意としているハウスメーカー等から候補をあげるのが良いでしょう。
階段が増える
仕方のない事ですが三階建てにする事で階段が増えてしまいます。階段の上り下りは若い時はそこまで苦になりませんし、むしろ健康のための軽い運動とプラスに捉える事も出来ます。
ただ高齢になった時に日常の中で階段の上り下りが増えると負担が増えてしまいます。
高齢になって階段の上り下りが辛くなったらリフォームで電動昇降機を取り付ける事で階段が増えるデメリットを軽減する事は可能です。
居住スペースが狭くなり、間取りにもコツがいる
車1台分であれば約5坪、2台分であれば約10坪の広さをガレージに充てる事になるので、その分居住スペースは削られ狭くなってしまいます。
ただしメリットでご紹介した通り、ビルトインガレージには容積率の緩和措置があるので場合によっては全く気にならない事もあります。
延床面積に余裕のある家であればあまり関係ありませんが、狭小地に建てるビルトインガレージのある三階建ての場合、ワンフロアの広さが限られているので動線が考えられた間取りでないと生活が不便になってしまいます。
例えば、食料品や日用品などの買い出しを頻繁に行う世帯であればガレージとパントリーを勝手口などで繋いでおけば動線がスムーズで便利なガレージになります。
ガレージからの動線だけでなく二階・三階の居住スペースの動線も当然大切になってきます。
限られた居住スペースの中で、動線も良くライフスタイルにも合った間取りで建てられるかどうかで満足度は大きく変わってきます。
間取りに関しても経験・ノウハウがモノを言うのでビルトインガレージを得意としているハウスメーカーと検討していく事が解決の一番近道となります。
ビルトインガレージのある家を建てる時の注意点
ビルトインガレージのある家を建てる時に知っておきたい注意点を何点かご紹介しておきます。
換気設備や照明設備は必須
建物内に駐車スペースのあるビルトインガレージでは排気ガスが居住スペースに流れ込む危険性や、塗装などする場合に出る揮発性ガスによる悪影響も考えられます。
その為、換気用の窓の設置や換気扇の設置が必要です。
また、シャッターを下ろすとガレージ内は真っ暗になってしまうので安全の為や作業をしやすくする為に照明設備も必要になります。
その他、必須ではないですがガレージ内に設置しておくと便利になる設備はエアコンです。エアコンがあれば夏でも冬でも快適に作業が出来ます。
収納棚やコンセントも、高さや位置に注意して備えておくと大変便利です。
更に、作業をして手が汚れた時にサッと洗える手洗い場もあると、洗車したり、アウトドア用品を洗ったら、ガレージ内の掃除にと何かと役に立ちます。
建ててからガレージのサイズを大きくするのは困難
ビルトインガレージは建てた後にガレージサイズを大きくするのは簡単ではありません。これが原因でよくある失敗例としては
「車を買い替えたら前に乗っていた車よりも車幅がありスペースがギリギリになってしまった。」
「家族が増えたので大きな車に乗り換えたいがガレージのサイズ的に難しい」等
ガレージのサイズで失敗されている方も多くいます。そうならない為に、普通乗用車を基準とし少し余裕を持たせた設計を行う必要があります。
容積率の緩和措置と固定資産税は別の話
「ガレージの大きさが延床面積の5分の1未満であれば床面積に含まれないので固定資産税が安くなる」と言った誤った情報をネットでちらほら見かけますが、容積率の緩和措置と固定資産税の床面積がごっちゃになり誤解が生まれているのだと思います。
メリットでも紹介したようにビルトインガレージの場合、「延床面積の5分の1を限度として延床面積に算入しない」という容積率の緩和措置が受けられます。
ただし、これはあくまで容積率の計算上の延床面積を割り引くものであり固定資産税上の床面積とは関係がありません。ただし評価基準は自治体により異なるので、心配な場合は事前に問合せしておくと良いでしょう。
固定資産税評価の査定は、登記簿謄本上に記載された延床面積が対象となるので延床面積の5分の1内でガレージを設けても固定資産税の対象にはなります。
ちなみにガレージに豪華な電動シャッターを付けた場合、資産価値とみなされ固定資産税が高くなる可能性もありますが、ビルトインガレージの床や天井は居室の部屋と比べると簡素なので元々の評価額はガレージの方が低くなりやすいです。
その為、豪華な電動シャッターを付けたとしても一般的な住宅と比べ負担が大きく変わるほど評価額が違ってくる事はあまりないでしょう。
音への対策
ビルトインガレージではエンジン音や作業をする時の音が家の中に響きやすいです。
その為、ガレージと居住スペースの間の壁には吸音・防音性の高い資材を使ったり二階の床に防音・遮音マットを敷いたりするなどの対策をしておく必要があります。
間取りの配置も考えておきましょう。
特にストレスを感じるのは就寝中の騒音なので、家族が寝ている時間帯に車を使う可能性がある場合はガレージからなるべく寝室を離しておいた方が良いです。
また、ガレージの開閉音も深夜や早朝だと気になりご近所トラブルに発展する事もあるので、住宅街でしたら出来るだけ静かに開閉のできるシャッターを選ぶようにしましょう。
シャッターの種類
ビルトインガレージのシャッターは主に3種類になります。
◦巻き上げ式シャッター
上部に設置されたシャッターケース内にシャッタースラットが巻き取られて収納されるタイプで電動、手動両方あります。
巻き上げ式はチェーンタイプのものとベルトタイプのものとで特徴がやや異なります。
チェーンタイプは開閉時の音が煩く住宅街には向いていません。開閉スピードも遅いです。ただ、重たいシャッターでも問題なく巻き上げる事が出来ます。
ベルトタイプは開閉時の音は静かですが、チェーンタイプに比べるとパワー不足なので重量のあるシャッターには不向きです。
価格はチェーンタイプの巻き上げ式が以下に紹介する他のタイプのシャッターよりも1番安価ではあります。
◦オーバースライダー式
シャッタースラットがガレージの天井に沿って収納されるタイプで基本的には電動式です。
開閉時の音も静かで、開閉スピードも速い特徴があります。住宅街のビルトインガレージに向いているシャッターです。
ただし、天井にスラットを収納するのでガレージ天井に照明が取り付けられません。(照明器具は壁面などに付ける事になります。)
天井に収納するのでガレージの高さも考慮しておく必要があります。
◦スイングアップ式
シャッターが1枚板になっており外側に跳ね上げるように開くタイプで基本的には電動式です。
開閉時の音は静かで開閉スピードも速い特徴があります。こちらも住宅街のビルトインガレージに向いているシャッターです。
注意点としてはオーバースライダー式同様に天井に収納されるので天井に照明が付けられません。また開ける時にシャッター部分が手前に跳ね上がるのでガレージ前方にスペースが無いと付けられません。
まとめ
ビルトインガレージのある三階建ての家の間取りや価格相場以外にも、駐車台数に応じて確保しておきたいガレージの広さや、
三階建てビルトインガレージのメリット・デメリット。注意点などもご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
ビルトインガレージは車好きの方には勿論、車好きで無い方にも大変便利な住居スタイルなので人気がありますが、後々になって後悔する事がないように
費用面や間取りへの工夫、建ててからのサイズ変更が難しい事や音への対策もきちんとおこなった上で家づくりを進めていきましょう。
素敵なマイホームづくりを応援しています。
記事中にも触れましたが、ビルトインガレージは特殊な耐震施工や動線が考慮された間取りの作成が必要になります。
三階建てで耐震性能など安全面も確保しつつ、施主の希望も汲み取りながら設計図に落とし込むには高い技術と経験が必要です。
高い技術力と豊富な経験(ノウハウ)の有無は提案力、デザイン力、設計力、施工精度、生活のしやすい間取り等、家づくりの重要な要素全てにおいて差が出ます。
その為、ビルトインガレージを検討されている方はビルトインガレージを得意としているハウスメーカーの中から選ぶようにしましょう。
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