高気密・高断熱で失敗しないハウスメーカー・工務店の選び方

2020-06-29

少し前まで住宅性能でこだわる箇所といえば耐震性能が多かったのですが最近は高気密・高断熱にこだわる施主さんが増えてきています。

高気密・高断熱住宅でしたら夏は涼しく、冬は暖かく1年を通して快適に過ごせるはずなのですが、高気密・高断熱の家を建てられた方の中には

「夏暑い…」
「高気密・高断熱なのに冬寒い…」
「結露が…」

etc..高気密・高断熱なのに何故?失敗した!と嘆いている施主さんも一定数いらっしゃいます。

高いお金を払って建てたは良いものの、思い描いていた理想の家とかけはなれた家が建ってしまっては悔やむに悔やみきれません。

注文住宅で高気密・高断熱の家を建てようかな?と考えている方が同じような失敗を繰り返さない為に、事前に知っておいた方が良い高気密・高断熱住宅の本当のところを書いていきます。

また失敗しないハウスメーカーor工務店の選び方も記載していきたいと思います。


家たてる

嫁さんが寒がりだから高気密・高断熱住宅にしようと考えていたんだ。

ナビ子

そうなのですね。では、高気密・高断熱住宅にするにあたって知っておいた方が良い事を紹介していきますね♪

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高気密・高断熱でおすすめのハウスメーカーor工務店

高気密・高断熱の家を希望されている方は高気密・高断熱住宅を得意としているハウスメーカーや工務店に依頼をするのをおすすめします。

高気密・高断熱住宅を得意としているハウスメーカー・工務店は下記リンクより探す事ができます。

高気密・高断熱住宅の得意な会社

ではなぜ得意としているハウスメーカーや工務店の中から探した方が良いのか?を説明したいと思います。

気密性能・断熱性能は職人の技術力に左右される

住宅の気密性能と断熱性能は現場で施工をする職人の技術力に左右されます。

現場の職人が気密施工を正しく理解しているか、丁寧で精度の高い断熱施工を行えるか?施工を行う者が練度の高い職人かどうかで差が出てきます。

その為、高気密・高断熱を希望される方は練度の高い職人が多い高気密・高断熱住宅の施工実績が豊富なハウスメーカーor工務店から選ぶのがおすすめなのです。

高気密・高断熱がどれ位得意かを探る方法

検討をしているハウスメーカーや工務店がどれ位、高気密・高断熱住宅が得意なのかを探る方法はC値とUA値を尋ねる事です。

住宅の気密性能と断熱性能を測る場合に活用する数値がC値とUA値です。

C値とUA値とは?

気密性能は「C値」断熱性能は「UA値」で測る事が出来ます。

■C値(相当すき間面積)(c㎡/㎡)
建て物内でどれだけすき間が空いているのかを表す数値です。
C値が低ければ低いほど気密性能が高い事を表しています。
C値は専門の気密測定試験機を使って行います。
C値=家全体の隙間面積(c㎡)÷延床面積(㎡)

■UA値(外皮平均熱貫流率)(W/㎡K)
住宅内部の熱損失の合計を外皮面積で除した数値です。
UA値が低ければ低いほど断熱性能が高い事を表しています。
UA値=熱損失量(W/K)÷外皮面積(㎡)

UA値とC値の説明
図参照:サンエム建設

C値は実測値、UA値は理論値

知っておいた方が良い知識としてC値は竣工後にバズーカみたいな見た目をしている専門の機器を使って測定を行います。

それに対してUA値はあくまで理論値です。

家の仕様書を元に計算によって出された数値です。仕様上UA値は0.5となっていても現場で施工を行う職人の練度によっては最終的に数値が悪くなる可能性もあります。

そうならない為にも高気密・高断熱住宅が得意で施工実績の多いハウスメーカーや工務店から選ぶ必要があるのです。

そしてC値は実測値なのでより現場の施工精度を確認する事ができます。

施主側が家づくりにおいて最も判断のしずらい「現場の施工精度」を判断できる基準にもなりますので高気密・高断熱を希望されている場合は必ずC値を聞く事にしましょう。

住宅メーカーの中にはC値を公表していなかったり、聞かれてもはぐらかしたり、そもそも測定を行っていない会社もあります。

そういった会社は気密性能に自信が無い会社という事なので避けた方が無難です。


家たてる

なるほど。高気密・高断熱を実現させるには現場の技術力がけっこう大事そうだね。

ナビ子

そうですね。失敗しない為には実績のあるハウスメーカーor工務店から選ぶようにしましょう。
では続いて高気密・高断熱住宅の注意点を書いていきます。

高気密・高断熱の基準は定められていない

C値が○○以下であれば高気密。UA値が○○以下であれば高断熱。といったような基準が定められていないのです。

ルールが無いのでハウスメーカーや工務店側が「この家は高気密・高断熱ですよ」と謳っていても実際の数値は大した事がない可能性もある訳です。

こういった『なんちゃって高気密・高断熱住宅』が売られた事で高気密・高断熱住宅のはずなのに寒いや暑いといった間違った認識が広がっているのだと推測しています。

数値が良い本当の高気密・高断熱住宅であれば夏も冬も一般的な住宅と比べると段違いに快適に過ごす事ができます。

結露の話も聞きますが、本当の高気密・高断熱住宅であればむしろ結露は発生し難い環境です。

「高気密・高断熱の家なのに暑いor寒い」など感じる場合は、残念ですが実際のC値とUA値は良くない数値で『なんちゃって高気密・高断熱住宅』である可能性が高いです。

高気密・高断熱の本当のデメリット&メリット等は別記事で紹介していますので気になる方はご覧下さい。

高気密・高断熱の家は危険!?知っておきたい本当のデメリット

ハウスメーカー&工務店の良し悪しは数値で判断

高気密・高断熱の基準が定められていないので、例えば住宅メーカーのHPに「ワンランク上の断熱材を仕様しているので冬でもポカポカ」とか書かれていても、営業に「弊社は○○という断熱材を使っているので断熱性能は非常に優れています。」等言われても、C値UA値の数値を見て最終的な判断はして下さい。

失敗しないハウスメーカーor工務店の選び方

高気密・高断熱住宅を希望されている方は、その住宅メーカーが高気密・高断熱の実績が豊富なのか?そしてこれまで建築した住宅の平均C値や平均UA値の確認を行いましょう。

各社に実際の数値を聞いてから比較をしましょう。

また契約を結ぶ前にはUA値、C値の保証を条件に盛り込みましょう。

契約を結ぶ前に行う事

契約を結ぶ前に「UA値○○以下保証」を条件に入れた上で見積もりを出して貰いましょう。

ちなみにUA値は家の形状や間取り、窓や断熱材の種類などによって変わってきますので希望のUA値がある場合は出来るだけ早い段階で「UA値は○○以下を希望しています」と伝えておいた方が良いです。

C値に関しては保証をしてくれる住宅メーカーは多くないと思います。保証してくれるメーカーであれば、契約前にその条件も入れて見積もりを出して貰いましょう。

保証が難しいようであれば目標とするC値を提示してもらいましょう。

その目標数値が本当に達成可能なのかは過去の建築実例の実際のC値を尋ねて判断をして下さい。

そして気密測定を建築途中に1回、竣工後に1回の合計2回行って貰いましょう。

1回目は断熱・気密工事、エアコン・換気扇工事が終わったあたりで行いその時点でのC値を把握し、目標よりも悪ければ隙間箇所を発見し、気密性の向上にむけた施工をして貰う条件を入れておきましょう。

2回目に関しては最終的な確認で意味で行います。

1回目、2回目共に数値の改ざん防止の為に測定の時には必ず立会いの元で行うようにして下さい。


家たてる

OK!住宅メーカーの選び方が分かったよ。ただC値とUA値はどの位にするのが良いのかが分からないな…

ナビ子

了解しました。では高気密・高断熱住宅のメリットを享受できる数値のラインはどこなのかをご紹介していきますね。

高気密・高断熱住宅として満足できる家の仕様

C値は1.0未満は必達。出来れば0.7以下

C値は換気システムにも影響をしてきます。穴のあいたストローでは上手に吸えないのと同じように気密性能の悪い家では換気も効率良く行う事が出来ません。

また気密性能が低いと、高断熱にしたところで家の隙間から外気が入ってくる、もしくは室内の空気が外に逃げていくので高気密・高断熱のメリットをあまり享受できなくなります。

高気密・高断熱を希望されている方は最低でもC値は1.0未満。

C値は経年劣化する可能性が高いので新築時には出来れば0.7以下の数値を確保しておきたいところです。

UA値はZEH基準をクリアできる数値

ZEH基準となるUA値は以下の通りです。

地域区分12345678
ZEH基準0.4以下0.4以下0.5以下0.6以下0.6以下0.6以下0.6以下
地域区分表

東京や大阪などが該当する「6地域」ではUA値は0.6以下を目指したい所です。

数値が低ければ低いほど断熱性能は優れている。という事なので更に下の数値を目指すのは勿論OKです。

ただし性能を追求するとコストが嵩んできます。

高気密・高断熱を希望されている場合UA値は0.6以下必達で、それ以上の性能は予算と相談しながら決めましょう。

天井(屋根)の断熱は壁の2倍の性能に

夏場2階にあがるとモヤッと1階よりも暑く感じた事はありませんか?

暖かい空気が上にたまるという空気の性質のせいもありますが、太陽から屋根がガンガンに陽をうけている事も原因なのです。

実際に夏の屋根の表面温度は70~80度まで上昇します。壁面はそんなに高くはなりません。屋根面温度と室温の温度差は、壁面温度と室温の温度差の2倍以上あります。

その為、天井(屋根)の断熱性能を壁断熱の2倍高める必要があるのです。

天井(屋根)の断熱性能をあげる事は夏場の暑さ対策にも有効ですが、冬場あたたかい空気が上から逃げていく事を防ぐ意味でも有効です。

ちなみに天井(屋根)の断熱方法は『天井断熱』か『屋根断熱』の2種類があります。

天井断熱と屋根断熱とは?
図参照:株式会社イノダ

■屋根断熱
屋根材の下に断熱材を取り付けます。
メリット:屋根裏部屋が使える
デメリット:天井断熱よりも断熱範囲が広いのでコストが嵩む。
      断熱材の厚さに制限がある。

■天井断熱
天井材の上に断熱材を取り付けます。
メリット:屋根断熱よりも断熱範囲が狭いのでコストが抑えられる。
     断熱材の厚さに制限が無い。
デメリット:屋根裏部屋が使えない。

屋根裏部屋を使いたい方は屋根断熱に、屋根裏部屋を使う予定が無い方は天井断熱で良いと思います。

床下の断熱は基礎断熱がおすすめ

図参照:IG STYLE HOUSE

床下の断熱方法は1階床で断熱をする床断熱と、基礎の外周部もしくは内周部に断熱材を施す基礎断熱の2種類があります。

高気密・高断熱住宅には気密性能が優れている基礎断熱がおすすめです。

ただし基礎断熱にはシロアリの被害を受けやすい事と建築後すぐ(クリートの水分が乾ききるまで)は床下結露・カビの発生リスクが高まるデメリットがあります。

その為、シロアリ対策と床下の換気や除湿対策を行った上で基礎断熱にするのがおすすめです。

窓は樹脂サッシ・樹脂スペーサー・Low-E複層ガラス(アルゴンガス入り)

冬場に流出する熱量の約50%が窓からだと言われています。夏場は流入する熱量の約70%が窓から入ってきていると言われています。

その為、窓の断熱性能を高める事も重要です。

サッシはオール樹脂サッシがおすすめです。

サッシの種類はアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ、オール樹脂サッシと主に3種類に分かれています。

アルミは樹脂に比べると熱伝導率が約1000倍もある為アルミサッシは論外です。アルミと樹脂の複合と迷うと思いますが、結露の問題も考えるとオール樹脂サッシが1番良いです。

スペーサーにはアルミスペーサーと樹脂スペーサーがありますが、樹脂スペーサー一択です。

窓ガラスは主に単板ガラス、一般複層ガラス、Low-E複層ガラス、Low-Eトリプルガラスの4種類です。

おすすめはLow-E複層ガラス(アルゴンガス入り)です。

Low-Eとは低放射という意味で、Low-Eガラスとはガラスの内側が金属膜でコーティングされており、より断熱性・遮断性を高めたガラスの事です。

ガラスとガラスの間の中間層には乾燥空気もしくはアルゴンガスが使用されていますが、より高断熱のアルゴンガスが入っている方がおすすめです。

Low-Eトリプルガラスの方が良くない?

Low-E複層ガラスをおすすめしましたが、性能だけを見ればLow-Eトリプルガラスの方が良いです。

ただしその分コストがかかります。

寒冷地にお住まいの方は予算と相談し折り合いがつくようでしたらLow-Eトリプルガラスにするのも良いと思います。その方が気密・断熱性能も高いですしね。

ただそれ以外の地域の方にはオーバースペックになるかなと思います。

Low-E複層ガラスでも高気密・高断熱住宅として満足できる性能なのでLow-E複層ガラスをおすすめしました。

高気密・高断熱でおすすめのハウスメーカーや工務店22社

気密と断熱はどちらか一方だけが優れていても意味がありません。気密性・断熱性ともに優れていて初めて高気密・高断熱住宅のメリットを享受できるのです。

そこで管理人調べでC値とUA値、どちらも優れているハウスメーカーや工務店を22社選んでみました。

C値、UA値共に優秀なハウスメーカーや工務店

社名C値UA値参照元URL
土屋ホーム0.50.45C値、UA値
FPの家0.440.37C値、UA値
アイフルホーム0.540.3C値、UA値
一条工務店0.590.25C値UA値
ヤマト住建1.0以下0.27C値、UA値
インデュアホーム0.2~0.30.3~0.35C値UA値
セルコーホーム0.4920.37C値、UA値
アエラホーム0.470.39C値、UA値
イシカワ0.60.48C値、UA値
建成ホーム0.270.3C値、UA値
サイエンスホーム0.7以下0.46以下C値、UA値
フィアスホーム0.320.38C値、UA値
トヨタウッドユーホーム0.80.34C値、UA値
ウェルネストホーム0.20.28C値UA値
サンコーホーム0.50.28C値、UA値
ユニバーサルホーム0.40.34C値、UA値
スウェーデンハウス0.630.38C値、UA値
スウェーデンスタンダードホーム0.1~0.40.31~0.38C値、UA値
北州ハウジング0.650.23C値UA値
ユニテハウス0.70.56C値、UA値
R+house0.340.468C値、UA値
ジュープラス0.1~0.30.4C値、UA値

参考できる数値が公式HPに載っていたハウスメーカー及び工務店をピックアップしました。

上記で取り上げたハウスメーカーや工務店以外にもC値、UA値が優秀な住宅メーカーはありますのでカタログ等を取り寄せ、確認する事をおすすめします。

住宅カタログでC値やUA値を確認

C値、UA値がHPに記載されていない会社も多くありますので住宅カタログで確認をしましょう。

住宅カタログには気密・断熱性能以外にも耐震性能や耐火性能、耐久性度etc…住宅性能に関する事が詳細に書かれているので他社と比較・検討をするのにもってこいの資料です。

家づくりに関する役立つ情報ものっていますので注文住宅を検討中の方は情報収集の一環としてカタログを集めるところから始めてみては如何でしょうか。

カタログ請求で得られるメリット

・全国数百社の中から自分の条件や希望に1番合う住宅メーカーを見つけられる。
・一括で複数社のカタログを集める事が出来るので効率が良い。
・複数社から集めるので比較・検討がし易い。
・家づくりに関する疑問点など、分からない事があれば直ぐに専門家に質問ができる環境が整う。
・ネット未公開の土地情報や自社で持っている土地情報の開示もして貰えるので条件に合う土地を見つけやすい。

高気密・高断熱住宅のカタログ

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高気密・高断熱の家を希望の時は備考欄に「高気密・高断熱住宅を希望」を入れておきましょう。

この記事を書いた人
管理人
管理人

資格:宅地建物取引士(東京都宅地建物取引業協会認定)
経歴:不動産・住宅業界約10年
元ハウスメーカー勤務。現在は家づくり関連の情報サイトを複数手掛けるWEBディレクター
不動産・住宅業界10年以上の経験を活かし、注文住宅に関する"分からない事"を解消できるようにこのサイトを作成しました。