結露しない家を建てるハウスメーカーはどこ?結露する家との違い
結露は家の性能や耐久性に悪い影響を与える可能性があるので、結露の発生のしやすさを気にかけている施主さんは多くいます。
そこで当ページでは、結露する家としない家にはどのような差があるのかや結露しない家にするにはどうすれば良いのか、結露を気にされる方におすすめのハウスメーカーなどをご紹介していきたいと思います。
そもそも結露が起こる原因は?
結露しない家を建てるには結露が起こる原因を知っておく必要があるので「結露がなぜ起こるのか?」を解説していきます。
結露発生のメカニズム
結露とは空気中に含まれる水蒸気が水滴に変わり物の面などに付着する現象の事です。
夏であれば冷たいコップやペットボトルによく結露が発生しますね。冬であれば電車の窓などによく発生しますね。
その原因は、暖かい空気と冷たい空気の飽和水蒸気量の差によって起こります。
暖かい空気は、空気中に水蒸気を含める量(飽和水蒸気量)が多く、反対に冷たい空気は空気中に水蒸気を含める量が少なくなります。
水蒸気を豊富に含んだ暖かい空気が冷やされた時に、空気中に含みきれなくなった水蒸気が水滴となって現れますそれが結露です。
結露の種類
結露には表面結露と内部結露の2種類があります。内部結露は壁内結露とも呼ばれます。
表面結露とは、読んでそのまま表面に現れる結露の事です。壁や天井、窓などの表面に発生する結露で目で確認する事が出来ます。
内部結露とは壁の内部や床下、天井裏など普段目にする事のない箇所で発生する結露の事です。
家の中で結露が発生するのがなぜ悪いのか?
結露をそのまま長期間放置しておくと、家の構造を構成する木材を徐々に腐食させ劣化させてしまいます。シロアリの発生リスクも上がり家の耐久性や耐震性能が著しく低下します。
耐震性能が衰えた時に地震がくれば危険ですし、ダメージも蓄積します。耐久性も衰えているので家の寿命が短くなってしまいます。
内部結露では断熱材に水が溜まり断熱性能も下がってしまいます。
更に、カビ菌が含まれた結露を放置するとカビが発生します。
カビが発生すると今度はそのカビを餌とするダニも発生します。
カビやダニの死骸・糞が引き起こすアレルギー症状は鼻炎や結膜炎、咳や喉の痛み、目のかゆみや喘息など様々です。
結露が発生すると家の寿命だけでなく、断熱性能や住む人の健康へも悪影響を及ぼすので対策が必要となります。
結露しない家の条件
結露しない家の条件として最も大切なのは①.高断熱 ②.高気密 ③.計画的な換気の3ポイントです。
高断熱仕様
断熱性能の良い断熱材を適切な厚みで施工し、窓の断熱性能も高い家であれば壁や窓の表面温度が室内の温度と差が小さくなるので表面結露を防ぐことが出来ます。
断熱性能が高ければ部屋同士の温度差も抑える事が出来るので、部屋の温度差が原因での結露も防ぐことが出来ます。
家の断熱性能を気にする上で特にチェックしておきたいポイントが開口部です。
開口部の断熱性能にこだわる
住宅への熱の出入りは夏の場合は73%が、冬の場合は58%が開口部を介して出入りしています。つまり開口部からの熱の出入りを抑える=開口部の断熱性能を高める事で家の断熱性能を効率的に高める事が出来ます。
この場合の開口部とは主に窓、玄関ドア、勝手口が該当します。
窓や玄関ドア、勝手口の断熱性能はU値(熱貫流率)で確認をしましょう。
(「U値」とは熱の伝わりやすさを表した値で、小さい値の方が断熱性能が高い事を示します。)
窓や玄関ドア、勝手口にU値の低い製品を採用する事で家全体の断熱性能が高くなります。
ちなみに窓はサイズを小さくしたり設置数を減らす事でも断熱性能UP対策となります。勝手口に関しては付けない事が一番の断熱性能UP対策となりますので、必要性をあまり感じなければ付けない選択もアリです。
高気密
高気密とは家にすき間が少ない状態の事です。
気密性能の低い家だと、すき間から湿気を含んだ空気が室内に入ってきやすくなるので結露が発生しやすくなります。また、壁内にも入り込みやすくなり内部結露の原因にもなります。
更に、気密性能は換気性能とも密接に関係しており、穴の空いたストローでは上手に吸えないのと同じように気密性の低い家では計画的な換気が難しくなってきます。
効率良い換気を行う為にも高気密である必要があります。
計画的な換気
計画的な換気を行う為には高気密である必要があります。
気密性の高い家は空気の流れが作りやすく計画的に換気が行えるので、室内に含まれる水蒸気をしっかりと撹拌・排出する事が出来ます。
換気により室内の水蒸気量を下げる事が出来るので結露の発生しづらい環境を保つ事が出来ます。
注意が必要なポイント
◦風呂場・洗面室
◦梅雨時期
◦過加湿
◦風呂場・洗面室
風呂場や洗面室は家の中でも特に湿気の多い場所なので結露が発生し、それによりカビの発生リスクも高まります。
風呂場や洗面室には24時間換気システムが付いているのでうっかり止めてしまうような事がないように、十分な換気をするよう心がけましょう。
◦梅雨時期
換気により空気を入れ替えても梅雨時期は外の空気も湿気を多く含んでいます。それに加え洗濯物を室内で干す機会も増えます。
そうなると室内の湿度が上がり結露が発生しやすくなるので、梅雨時期に室内干しをする時には除湿器を使うなどして湿度の上昇を抑える事が大切です。
◦過加湿
冬場の高気密高断熱住宅は、室温がずっと高めに保たれている事やすき間風が入ってきづらい事から空気が乾燥しがちです。
その為、加湿器を使う機会が増えますが過度な加湿により室内の湿度が高くなりすぎると結露発生のリスクが高まってしまいます。
カビは湿度が60%以下だと発育が難しくなると言われており、ヒトは室内で快適に過ごせる湿度の目安が40%~60%だと言われているので、その範囲内で留まるように調整をしましょう。
結露する家、しない家の違い
今までの流れで既に分かると思いますが、断熱性能と気密性能が低く計画換気も出来ないと結露が起こりやすい住環境になるので結露する家としない家の違いは断熱・気密・換気性能の違いです。
高断熱+高気密+計画的な換気で結露の起こりにくい住環境となります。
ちなみに断熱性の高いダウンを着ていても、そのダウンが穴だらけだったら意味がないように、どちらか一方だけの性能が高くてもあまり意味がありません。
断熱性能と気密性能はセットで考えるようにしましょう。
目指したい断熱性能と気密性能は?
高断熱・高気密の家は結露が発生しづらいですが、では具体的にどの程度の断熱性・気密性を目指せば良いのか解説していきます。
断熱性能は最低でも断熱等級5以上が望ましい
断熱性能はUA値(外皮平均熱貫流率)で判断する事が出来ます。
各断熱等級の基準となるUA値は以下の通りです。
断熱等級 | 地域区分 | ||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||
北海道 | 青森・岩手など | 東北・長野など | 関東~九州北部 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 | ||||
断熱等級4 「H28 省エネ基準」 | UA値 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
断熱等級5 「ZEH水準」 | UA値 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | – |
断熱等級6 「HEAT20 G2」相当 | UA値 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 | – |
断熱等級7 「HEAT20 G3」相当 | UA値 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 | – |
断熱等級5以上を目指す理由は2つです。
1つ目は、2025年には断熱等級4の適合が義務化されて、更に2030年には断熱等級5の適合義務が予定されているからです。
2030年以降は断熱等級5が最低ラインとなりそれ未満の断熱性能の家は資産価値が大きく下がる事が予想されます。その為、これから家づくりを行うのであれば断熱等級5以上を目指した方が良いです。
2つ目の理由はシンプルで、断熱等級5以上の断熱性が無いと高断熱の恩恵を受けるには物足りないからです。
気密性能は新築時はC値=0.7以下を目指したい
気密性能はC値(相当すき間面積)で判断する事が出来ます。
上の画像は第三種換気の気密性能と給気量の関係を表しています。C値=1.0でも換気による給気は50%で残りは隙間からの給気となっています。
第一種換気でも同様でC値=1.0以上になると計画換気が難しくなってしまいます。
こうした事から住宅業界ではC値=1.0以下の家を高気密と呼ぶ事が多いのですが、気密性能は木材の収縮や窓サッシ、玄関ドアなど建材の経年劣化の影響を受けるので新築時はC値=0.7以下を目指したいというのが当サイトの推奨値です。
高断熱・高気密を得意としているハウスメーカーに依頼する
結露は表面結露と内部結露の2種類ありますが、より注意しておきたいのが目視できない内部結露です。
内部は普段目に付かないので気づいた時には被害が広がっている可能性があります。
内部結露を防ぐ為には高断熱・高気密・計画換気は大切な条件である事に変わりはないのですが、正しい施工が行われているかもとても大切になってきます。
室内の水蒸気が壁内に侵入しないように正しく防湿シートが貼れているか、壁や床下、天井の通気層が適切に確保されているか、隙間なく断熱材が充填されているか等施工精度によって発生リスクが変わってきます。
それにUA値やC値も施工精度に影響されます。
U値は家の仕様がまとまったタイミングで計算式で求める理論値なので、もし施工精度が低かった場合は想定している性能を発揮出来ない可能性もあります。
C値は現場で測る実測値です。気密施工に慣れていないと優れた気密性を確保出来ません。
結露しない家を建てるには現場の施工レベルの影響を受ける部分もあるので実績が豊富で高断熱・高気密を得意としているハウスメーカーに依頼するようにしましょう。
結露しない家を目指すならチェックすべきハウスメーカー
高断熱・高気密住宅の実績が多く施工精度も高い、結露しない家を目指す時にチェックしておきたいハウスメーカーをいくつかご紹介いたします。
アキュラホーム
アキュラホームは「カンナ社長」の愛称で知られる元大工さんが社長を努めており、「いい設計もいい性能もちゃんと施工しなければ意味がない」という想いが根付いています。
施工技術の向上と施工管理の徹底、そして現場監督と第三者機関による施工検査のダブルチェックで安心して家づくりを任せられる体制が整っています。
気密は非公表になっていますが、アキュラホームで建てた施主さんの建築ブログ等を拝見するとC値=0.6前後位である事が多いようです。
断熱性能も高く、2023年7月にリリースされた「超断熱の家 -プレミアム-」は現行最高ランクの断熱等級7に対応している商品です。オリジナルの全館空調システム「匠空調」もあり、結露しない家を実現出来ます。
スウェーデンハウス
高断熱・高気密・計画換気の北欧住宅を手掛けるハウスメーカーです。可愛らしくおしゃれな外観デザインも人気ですが、北欧住宅の性能の高さも人気となっています。
スウェーデンハウスの断熱性能は全棟の平均値がUA値=0.36となっています。断熱性能をグレードアップさせるオプション(強化断熱仕様)を採用した場合の平均値がUA値=0.28です。
C値の全棟平均値は0.64となっています。また、同社は樹脂サッシよりも結露が発生しづらい木製サッシを標準仕様で採用している事も嬉しいポイントです。
換気システムは熱交換率85%の第一種換気システムが採用されており夏も冬も、一年を通じて快適で結露のしづらい住環境が保たれます。
タマホーム
良質な自由設計な家を低価格で提供を行うハウスメーカーです。価格帯が安いというだけでなく、性能面も昨今の高断熱ブームにのって断熱性能に力を入れています。
2023年4月に販売を開始した「笑顔の家」は外壁ダブル断熱、基礎ダブル断熱、樹脂トリプルガラスなどの採用でUA値=0.23を実現しています。
換気システムは全熱交換型24時間換気システムで真冬でも冷気をそのまま取り込む事はないので結露の発生も抑えられます。看板商品の「大安心の家」もUA値=0.49と標準品でも高い断熱性能を誇っています。
C値は公表ないですが、施主さんの建築ブログや構造、断熱施工のやり方などを見るかぎり0.7以内に抑える事も出来るでしょう。
一条工務店
性能の高さ、それと住宅設備の殆どが一条オリジナルの製品で高品質でありながら自社開発品なので価格は抑え目で採用できるところも魅力のハウスメーカーです。
断熱性能は外内ダブル断熱構法や樹脂サッシなどを採用しUA値=0.25(グラン・スマート、アイ・スマート)を実現しています。更に、2023年5月に登場した断熱オプションの「断熱王」を採用する事で更に高める事が出来ます。
断熱王はグラン・スマート、アイ・スマートに対応しており、採用する事で最高等級の断熱等級7を満たす断熱性能になります。C値は平均実測値で0.59となっています。
換気システムには「ロスガード90」という、熱交換率90%の高性能な第一種換気が付いているので結露も発生しづらく快適な住空間を保ってくれます。
紹介したハウスメーカーの最新カタログ
※地域やタイミングにより候補に出ないHMもあります。
土屋ホーム
札幌市に本社を置く、北海道生まれのハウスメーカーで北海道の厳しい冬でも快適に暮らせるような高断熱・高気密な家づくりを創業当時から行っています。
土屋ホームが手掛ける注文住宅「CARDINAL HOUSE」では、外断熱+充填断熱のダブル断熱やトリプルサッシなどを採用しUA値は0.24を実現、平均C値は0.38となっています。
2022年8月に発表された同社の新構法「CARDINAL HOUSE BES-T 019」であれば断熱等級7を超えるUA値0.19も実現可能となっています。UA値0.19という断熱性能は間違いなく業界トップクラスの性能です。
換気システムは熱交換器を利用した第一種換気で結露も起こりづらく、夏は涼しく冬は暖かく快適な住宅を提供してくれます。
ダイワハウス
鉄骨造のxevoΣ(ジーヴォシグマ)が有名ですが、ダイワハウスで最高級の高気密・高断熱住宅を建てるのであれば木造の「xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)」がおすすめです。
2022年の6月にリリースされた新断熱仕様「ウルトラW断熱」が現行最高ランクの断熱等級7に対応出来る仕様となっています。C値は未公表ですが構造・工法を見る限り、この仕様であれば0.7以下は目指せると思います。
換気システムは3種類から選べるようになっており、冬は機械給気、春~秋は自然給気になる季節に応じて自動で切り替わるユニークな換気システム「風なびES」
熱交換付きの第一種換気システム「風なびRXⅡ」、24時間換気と天井埋込形空気清浄機を組み合わせた「空気浄化 ef 24」から選べます。費用はかかりますが快適性を優先させるなら熱交換付きの第一種換気が良いでしょう。
ヤマト住建
日本の住宅を世界基準にする事を使命とし、高断熱高気密で長寿命な資産価値の高い家をお手頃価格で提供しておりコスパに優れた家が建てられるハウスメーカーです。
看板商品の「エネージュ UW」は外壁W断熱、Low-Eトリプルガラス等が標準仕様でUA値=0.28を実現しています。気密性能は隅々まで丁寧な気密施工を行いC値=0.5以下を標準としています。
換気システムにはルームエアコン一台で全館空調可能な「YUCACOシステム」(Your Uniform Conditioned Air COnfigurationの頭文字)を採用し年中、家中の温度と湿度を保ってくれます。
2023年1月に発売されたHEAT20が提案する断熱基準G3(断熱等級7相当/UA値=0.26以下)を満たす「エネージュG3+」というより高断熱な住宅商品も取り扱っています。
紹介したハウスメーカーの最新カタログ
※地域やタイミングにより候補に出ないHMもあります。
まとめ
結露が発生するメカニズムや、結露しない家を建てる時に必須となる条件、結露しない家を希望される方におすすめのハウスメーカーなどをご紹介してきました。
最後に、ご紹介したハウスメーカーをまとめておきます。
高断熱・高気密の家は一年を通じて快適で結露も発生しづらいので家の長寿命化や住まう人の健康面でもプラスに働きます。
ただ、断熱性能も気密性能も施工精度の影響を受けやすいので信頼のできるハウスメーカーに依頼を出すようにしましょう。
素敵なマイホームづくりを応援しています。
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