住友林業「プレマール」の特徴や仕様、価格帯はどの位?
住友林業は2023年4月に、資材価格の高騰の中でも手の届きやすい価格で住宅を提供出来るように「Premal(プレマール)」を近畿・中四国エリアで先行リリースしました。
同年7月には全国での販売を開始しました。(寒冷地・多雪地域は除く)
住友林業はハウスメーカーの中でも比較的ハイコスト帯のメーカーですが、プレマールは「価格を抑えた住宅」がコンセプトの一つにもなっているのでお求めやすい価格で人気を集めています。
そこで当記事では、そんなプレマールの特徴や仕様、価格帯(坪単価)やプレマールと比較したいプレマールと似た他社の商品などの紹介も行っていきたいと思います。
参照:住友林業
住友林業の「プレマール」とはどんな住宅商品?
プレマールは間取りやデザイン、設備、仕様などが予め用意されたプランの中から選んで家づくりを行う完全規格住宅の商品です。
住友林業曰く、開発チーム全体で試行錯誤を重ね、100枚以上の設計図を描いた中から厳選されたプランが用意されているようです。
ちなみに「Premal(プレマール)」という商品名は「上等な、上質な」といった意味を持つ”Premium”と、「最小」などの意味を持つ"Minimal"をかけ合わせた造語です。
では、具体的にプレマールの仕様などを見ていきましょう。
間取りプランは合計57プラン
平屋と2階建て、それぞれ対応するプランが用意されています。
平屋は30プラン、2階建ては1階部分が9パターン、2階部分が3パターンの合わせて27パターンのプランの中からライフスタイルに合った間取りプランを選びます。
住友林業のHPに参考間取りが載っていたので幾つかご紹介致します。
◦2階建てプランの参考間取り
①は収納スペース、②はお庭、③はダイニングキッチン、④は洗面脱衣室です。
玄関奥に設置された広めの収納スペースで玄関周りもスッキリ整理整頓が出来ます。ベビーカーや三輪車、趣味の道具などなどしまっておける広さです。
大きな開口部から眺めるお庭で四季の移ろいを感じる事が出来ます。
2階は間仕切り壁の配置が異なる間取りが3パターン用意されています。
(⑤が間仕切りによって変わる可変空間、⑥は室内干しスペース)
1番左の間取りは⑤を1部屋としたプランで、セカンドリビングとしても使える広めの空間が確保されています。
夫婦2人暮らしや小さいお子様のいる子育て世帯に向いている間取りです。
真ん中の間取りは⑤を2部屋に区切ったプランで、子供部屋+勉強や仕事が出来るオープンな書斎が設けられています。
3人家族に向いている間取りです。
1番右の間取りはドアを設けてプライベートな空間を2部屋設けたプランです。子供部屋を2部屋確保出来るので4人家族に向いています。
建築面積 | 49.68㎡(15.02坪) |
1階床面積 | 48.02㎡(14.52坪) |
2階床面積 | 49.68㎡(15.02坪) |
延床面積 | 97.70㎡(29.54坪) |
◦2階建ての特徴(コア設計)
プレマールの2階建ては、階段や水回りなど家の機能に必要な部分を”コア”として、上下階で重ね合わせるように配置をする「コア設計」が用いられています。
そうする事で、コア以外の部分に可変性が生まれ自分たちのライフスタイルに合った間取りを選びやすくなっています。
また極力廊下を設けない作りなので、その分居住スペースを広くとれる+動線もコンパクトになり暮らしの効率がUPする工夫もされています。
◦平屋プランの参考間取り
①は収納スペース、②は庭、③はLDK、④は独立洗面台、⑤は水回り・洗濯動線です。
LDKから各部屋へ行ける作りになっているので動線がコンパクトになっています。
収納スペースは大型収納を1箇所に配置。
各部屋に収納スペースを設けるよりもコスト面でも抑える事が可能であり、また床面積も圧迫せずに済みます。
キッチンは人気のセパレートタイプを採用。
トイレ・独立洗面台・浴室、そしてキッチンの水回りを近くに配置する事で効率的な家事をサポートします。天気の良い日には洗濯物をそのままデッキで干せる動線も確保されています。
横一面に広がるウッドデッキによって内と外が繋がり、空間がより広く感じられ開放感溢れる平屋の間取りです。
建築面積 | 99.37㎡(30.05坪) |
1階床面積 | 92.74㎡(28.05坪) |
延床面積 | 92.74㎡(28.05坪) |
◦プレマールの間取りの総評
プレマールのコンセプトに"Minimal"な暮らしとあるように、デッドスペースを作らない無駄を省いた最小限のシンプル設計にする事で動線が短くコンパクトな作りとなっています。
動線が短いので移動効率がUPし家事・生活がしやすくなります。生活を送る上で不便さを感じるストレスも少ないでしょう。
またミニマルな設計でランニングコストの削減にも繋がります。
必要以上に広さを求めない方やミニマリストな生活を送る方に向いている商品です。
構造・工法
プレマールの構法・工法は住友林業の自由設計の商品と同じ「ビックフレーム構法(BF構法)」が採用されています。
◦560mmのビックコラム
一般的な柱の約5倍の幅があるビックコラムが使用されており高い強度と優れた寸法安定性を実現しています。
地震の際に弱点になりやすい接合部には、引き抜きに強いネジ状のボルトを使用し強固に接合されています。
◦剛接合
「剛接合」という柱と基礎の接合店を強く固定する、高層ビルにも取り入れられている技術をBF構法でも採用しています。
剛接合により地震の際に柱の倒壊や抜け、傾きが起きづらく高い耐震性を実現しています。
◦耐震性能は最高等級の3
プレマールの耐震性能は最高等級の耐震等級3です。
実証実験では東日本大震災を超える揺れと計246回の振動実験をクリアしており確かな耐震性能を証明しています。
断熱性能
断熱性能に関しても自由設計の標準性能と変わりありません。省エネ地域4~7地域の断熱性能はUA値=0.41W/㎡・Kです。これはZEH基準を満たす性能で等級で言えば、断熱等級5となります。
◦断熱材の種類と厚みと窓
天井 | グラスウール24K(105mm×2) |
外壁 | グラスウール24K(105mm) |
床下 | 押出法ポリスチレンフォーム3種(100mm) |
窓 | Low-E複層ガラス(アルゴンガス入り) アルミ樹脂複合サッシ |
外観デザイン
外壁のカラーはホワイトとライトベージュの中から選ぶ事が出来ます。総2階建てのシンプルなデザインで流行に左右されない外観となっています。
玄関ポーチにはポーチベンチが設置されます。ちょっとした憩いの場として利用出来るだけでなく、建物正面に人の気配を感じさせる事で防犯性が向上します。
内装デザイン
内装デザイン・インテリアは明るくやわらかな風合いが魅力の「アッシュ」と、濃い色合いが人気の気品ある「ウォルナット」から選ぶ事が出来ます。
選択した床材の色味に合わせて照明器具やウッドブラインドなどを設置し、床材に合わせた家具もオプションで購入する事が可能です。
インテリアコーディネーターが厳選したプランなので誰でも簡単にお洒落な家に仕上げる事が出来ます。
◦床材は挽板
住友林業の自由設計の商品では無垢板の床材も標準仕様となっていますが「アッシュ」か「ウォルナット」から選ぶプレマールの床材は住友林業オリジナルの挽板の床材が標準仕様となります。
挽板とは、天然木を2~3mmの板状に切り出し基材に貼り合わせたフローリングの事で表面材に厚みがあるので質感は無垢材と変わりありません。
調湿効果は無垢板の方がありますが、寸法安定性やお手入れのしやすさは挽板の方が優位です。床暖房にも対応可能です。
無垢材が標準仕様に含まれていませんが、コスト面やメンテナンス性を考えて無垢板より挽板を選択する方も多いので個人的にはデメリットには感じないポイントです。
キッチン
キッチンはキチンハウス社のオープンキッチンが採用されています。シンプルで機能的で見た目も綺麗なデザインです。
保証・アフターサービス
保証制度は住友林業の自由設計の商品と同等です。構造躯体および防水の初期保証は30年。30年目以降は10年毎に有料メンテナンス工事を受ける事を条件に最長で60年まで保証の延長が可能となっています。
住宅設備は10年間保証が付いており、自然故障時には部品代のほか出張料、作業料も含めて全額無料で修理対応をしてくれます。
また24時間365日受付のコールセンターもありますので何か不具合が起こった時にはいつでも相談が出来て迅速に対応が出来る体制が整っています。
プレマールの坪単価と本体価格
プレマールの坪単価は75万円~85万円位が目安となります。
2024年9月時点での住友林業の自由設計の坪単価は90万円~110万円位が目安です。
プレマールが自由設計の注文住宅と比べて安く提供出来る理由は、完全規格住宅とする事で使用する建材や設備を限定し大量仕入れで仕入コストを抑制出来るからです。
また、間取り作成にかかるコストや打ち合わせ回数の削減、および規格化する事が工期も短縮出来るので人件費も抑制する事が出来ます。
こうした経費削減により自由設計の商品よりも規格住宅のプレマールは安く提供が可能となっています。
◦坪数毎の本体価格の目安
坪数 | 本体価格 |
---|---|
25坪(82.6㎡) | 1,875万円~2,125万円 |
30坪(99.2㎡) | 2,250万円~2,550万円 |
35坪(115.7㎡) | 2,625万円~2,975万円 |
40坪(132.2㎡) | 3,000万円~3,400万円 |
45坪(148.8㎡) | 3,375万円~3,825万円 |
※建築予定地を選択して住友林業にチェックを入れ、お問い合わせ内容欄に「プレマールのカタログが欲しい」と記入して送信すればOKです。
地域やタイミングにより住友林業が候補に出ない事もあります。
プレマールと比較したい規格住宅
規格住宅は間取りプランや採用出来る住宅設備などが予め決められており、その中から自分好みのプランを選んで家づくりを行うスタイルです。
用意されている間取りプランの種類や可変性があるかなどの柔軟性、外観・内装のスタイル・デザイン、設備のグレード等は規格住宅毎に異なります。
価格・坪単価や住宅性能もそれぞれです。
その為、これから家づくりを行う方は初めから候補を絞りすぎずに、出来るだけ多くの規格住宅の情報を集めつつ、その中から自分の条件や好みに合うプランを探してみましょう。
以下は、住友林業の規格住宅を検討されている方が比較候補としてあげる事が多い他社の規格住宅です。
※規格住宅のカタログはリンク先から気になるハウスメーカーにチェックを入れ、お問い合わせ内容欄に「規格住宅のカタログが欲しい」等記入して送信すればOKです。
地域やタイミングにより候補に出ない事もあります。
一条工務店「アイスマイル」
一条工務店のスローガンである「家は、性能。」の性能性・快適性はそのままに、約4,000の豊富なプランの中から間取りや仕様を選ぶ事が出来る規格住宅です。
オリジナルタブレットを使って間取りや仕様を自宅にいながらでも決定でき、打ち合わせも2回で完了するのでとても簡単ラクに家づくりが行えます。
積水ハウス「積水ハウスノイエ」
他の住宅メーカーの規格住宅と少し扱いが異なり「積水ハウスノイエ」は積水ハウスのセカンドブランドで、積水ハウスグループの積水ハウス ノイエ株式会社が取り扱っている規格住宅です。
積水ハウスでは木造・鉄骨どちらも取り扱っていますが積水ハウスノイエは木造住宅のみです。積水ハウスの暮らしのクオリティはそのままに手の届きやすい価格を実現しています。
三井ホーム「セレクト」
「Mitsuihome Select」はWEB限定の規格住宅です。サイト上で間取りをセレクトしたり、価格シミュレーションを行ったり、リモート打ち合わせなどWEBを効率的に活用する事で価格が抑えられています。
用意されている間取りプランはプロが考え抜いた100を超えるプラン。外観やインテリア、設備もこだわりを満たすデザインラインナップが揃えられています。
ダイワハウス「ライフジェニック」
ライフジェニックは147の間取りや5つの外観デザイン、5つのインテリアスタイルをWEB上で選ぶだけでライフスタイルにマッチする自分好みの家が作れます。
完成イメージを見ながらセレクト出来るので分かりやすく、外壁の色や設備などのカスタマイズも可能です。初期保証が30年と長期である事も魅力の一つです。
2021年4月からは木造の「ライフジェニックW」が登場し、軽量鉄骨造のライフジェニックは"郊外型"、Wは"都市型"という表現で分けられています。
ミサワホーム「スマートスタイル」
「SMART STYLE」には、4層のスキップフロア設計が特徴のSMART STYLE「H」や、ZEH対応のSMART STYLE「S」、平屋タイプのSMART STYLE「A」等、8タイプ57プランから選ぶ事が出来ます。
長年蓄積してきた知恵と工夫が惜しみなく盛り込まれたプランに加え、間仕切りやインテリア、エクステリア、アイテム等を自分流にカスタマイズも出来ます。
ヘーベルハウス 「マイデッサン」 | パナソニックホームズ 「ヴェッセ」 | トヨタホーム 「シンセLQ」 |
ヤマト住建 「エラボスタイル」 | スウェーデンハウス 「ヘンマベスト」 | アエラホーム 「クラシク」 |
アイフルホーム 「ロディナ」 | タマホーム 「シフクノいえ」 | レオハウス 「Vit」 |
プレマールのメリットとデメリット(注意点)
プレマールにはどのようなメリットおよびデメリット(注意点)があるのか、幾つかご紹介致します。
メリット
◦住友林業で安く建てる事が出来る
プレマールの構造・工法は自由設計の商品と変わりなく、住友林業の技術が活かされています。BF構法による耐震・断熱・耐久性能などの基本性能は同じでありつつも安く建てる事が出来ます。
その為、コストパフォーマンスの高い商品であると言えます。
◦効率的に家づくりが行える
自由設計の注文住宅では着工までに少なくても10回以上は打ち合わせを行いますがプレマールであれば3回程度の打ち合わせで済みます。
着工から引渡しもスピーディーなので建て替えの方であれば仮住まいの期間が短くなり、賃貸からの住み替えの場合は賃貸料の節約に繋がります。
◦間取り作成で失敗が少ない
予め用意されている間取りプランは生活・家事動線が考えられており収納スペースも程よく、多くの方にとって暮らしやすい間取りをピックアップしています。
その為、イチから作る自由設計の注文住宅に比べると間取りでの失敗は少なくなります。
◦保証が充実している
プレマールの保証は住友林業の自由設計の商品と同じ保証制度が適用されます。
保証期間が法律で定められている10年間だけの規格住宅も多くありますが、プレマールは大手ハウスメーカーの長期保証が付いているので安心感があります。
デメリット(注意点)
◦自由度は低い
プレマールは完全規格住宅なので間取りの変更は出来ません。選択できる設備等も自由設計の注文住宅に比べると限定的です。
その為、「他と被らない個性的なデザインで建てたい」とか「こだわりの間取りを取り入れたい」等といった希望がある場合は叶える事が難しいので注意しておきましょう。
また、階数も平屋・2階建てプランは用意されていますが3階建てのプランは無いので、狭小地に建てる事の多い都心部の方は難しいかもしれません。
◦用意されているプラン数が少ない
プレマールは規格住宅の中でも用意されている間取りプランや外観のバリエーション、インテリアスタイル、選べる設備などの種類が少ない方です。
選択肢は多い方が自分の好みに合ったプランを見つけやすいので、プレマールでは条件・希望に沿ったプランが見つからない可能性もあります。
◦土地の条件によっては建てられない事もある
プレマールは規格住宅なので予め間取りプランなどは決められています。その為、土地の条件によっては建てられない事もありますので、既に土地をお持ちの方は注意が必要です。
土地の購入もセットで行う方は、規格住宅の場合はプランによって建てられない土地もありますので購入前に狙っている規格住宅が問題無く建てられる土地かどうかの確認が必要です。
「フォレストセレクション」との違い
住友林業にはプレマール以外にもセミオーダー型の規格住宅「フォレストセレクション」という商品も取り扱っています。
詳細は以下の記事を参照▼
「フォレストセレクション」は1500を超える間取りプランが用意されており間取りもルール内であればアレンジが可能です。
外観のバリエーションやインテリアスタイル、選べる設備も「プレマール」に比べると豊富にあります。
「フォレストセレクション」は注文住宅に近いセミオーダー型の規格住宅なので自由度はプレマールよりも上です。
ただし価格は「プレマール」の方が「フォレストセレクション」より自由度が低い分よりお求めやすい価格となっています。
まとめ
住友林業の「Premal(プレマール)」についての特徴や標準仕様、おおよその価格帯、メリット&デメリットなどをご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
個人的には、プレマールで用意されている住宅設備はグレードも高く住宅性能も最高級とまでは言いませんが決して悪くはありません。
また、構造・工法は自由設計の住宅を同じなので住友林業の技術がしっかり活かされており屈強な構造躯体により安全性の高い住宅です。
価格も住友林業の中では安い価格帯となっておりコスパの良い商品なので、コスパ重視の方や「ある程度選択肢を絞ってくれていた方が迷わないで済むので楽」だと思える方に向いています。
完全自由設計の注文住宅でなく規格住宅で良い!と思う方は候補の1つに加えたおいたほうが良い商品だと思います。
ただ、プレマールだけを見るのではなく他社の規格住宅のプランなどもチェックして性能・設備・価格帯などを比較してみましょう。
素敵なマイホームづくりを応援しています。
※規格住宅のカタログは、リンク先から気になるハウスメーカーにチェックを入れて、お問い合わせ内容の欄に「規格住宅のカタログが欲しい」等記入してお問い合わせすればOKです。
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