シニア夫婦二人で住む平屋の間取り【取り入れたいアイデア】
ワンフロアで生活が完結できる平屋は、生活のし易さからとても人気のある間取りです。
最近は、シニア夫婦二人で住む為の平屋を注文住宅で建てられる方も増えてきました。
そこで当記事では、シニア夫婦で住む平屋におすすめの間取りや取り入れたいアイデア等をご紹介していきたいと思います。
シニア夫婦二人で住む平屋の間取り【バリアフリー設計は必須】
より楽しく、より暮らしやすい平屋にするにはバリアフリー住宅がおすすめです。
(バリアフリー住宅とは、小さいお子さんから高齢者の方まで「安心・安全・快適」に生活が出来る事を前提とした住宅の事です。)
例えば、つまづかないようにや車椅子でも通りやすいように段差を無くしたり、廊下に転倒防止の手すりを設置したり、
このようなバリアフリー設計が取り入れられた間取りを何件かご紹介していきます。
車イスでもストレスの無い家
玄関とは別に直接車イスで出入りが出来るようにリフトも設置されています。
LDKは家具を置いても車イスでスムーズに行き来が出来る広さを確保。玄関ホールも車イスでUターンが出来る広さを確保しています。
家の中の段差は無くし、スペースをとらない引き戸を採用しています。
家事動線の良いコンパクトな平屋
駐車場から直接、パントリーに設置された勝手口経由でキッチンまでアクセスできる動線が確保されています。
沢山買い物して帰ってきても直接パントリーに収納が出来るので便利です。
家の中の段差は無くし、移動もスムーズに
天井高を活かして中2階的な書斎も設けた遊び心もある間取りです。
キッチンを中心に回遊できる動線
玄関外にはゆるやかなスロープが付けられており、将来的にも使いやすい設計がされています。
室内は段差を無くし、扉を引き戸にした事で開放感が生まれる間取りです。
洗濯機を置いた洗面室では、洗う・干す・たたむの一連の動作ができるランドリールームを設置する事で家事効率がアップしています。
廊下をつくらず動線の良い間取りに
廊下を作らず、LDKを中心に居室を配置しています。LDKから全ての居室に行けるので移動もスムーズです。
天井高を活用したロフトへの固定階段は段差をゆるやかにし、手すりを付けられており安心設計がされています。
コンパクトな平屋だが、広いテラスと庭でゆとりを感じられる間取りです。
便利さと快適さ、安心が同居した家
家中、段差の少ないバリアフリーでLDKを中心とした間取りです。どの部屋に行くにもちょっと動けば行けるので便利です。
シニア夫婦二人で過ごすので必要最低限の広さの平屋。その為、耐震性も断熱性も確保しやすくなっています。
LDKから繋がるウッドデッキは縁側のように使え癒しの場になっています。
バリアフリー住宅で抑える3つのポイントと+α
バリアフリー住宅で抑えておきたいポイントは「段差を無くす」「転倒防止の手すり」「温度差を無くす」の3点です。
+αの部分として補助金・助成金の確認も忘れずに行いましょう。
段差を無くす
段差がある事でつまずいたり、足の指をぶつけて痛い思いをしたり、車イスが必要になった時には数センチの段差でも移動が大変になります。
段差を無くす事で移動も楽になり、介護が必要になった時には介護者の負担も楽になります。
転倒防止の手すり
手すりを設置する事で転倒のリスクを減らす事ができます。
玄関や廊下、浴室やトイレに手すりを設置する事が多いです。また平屋にロフトや中二階を設置する場合は、ロフト・中二階に続く固定階段にも手すりを設置しましょう。
温度差を無くす
温度差が原因で起こるヒートショックで死亡する人は年間1万9000人との推計も出ています。
ヒートショック予防の為にも家中の温度差を無くすのは必須です。
快適さを失うだけでなく、温度差があると結露が発生しやすい環境となり、結露が壁内や躯体まで及ぶと家の寿命も縮めてしまいますので気を付けましょう。
住宅の気密性・断熱性を高くする事や換気性能を高くする、全館空調を採用するなどして家中の温度差を極力無くしましょう。
補助金・助成金の確認
バリアフリー住宅を新築で建てる場合、地方自治体による補助金制度もあります。
ただ支援の内容や利用条件などは自治体によって異なります。その為、自分が建てようと思っている地域の自治体に確認をしてみる事をおすすめします。
自治体に確認をとるのが面倒な場合は、工務店やハウスメーカーに直接聞いてみましょう。
住宅メーカーは数多くありますが、ローコストが得意な会社や輸入住宅が得意だったり二世帯住宅が得意だったり、それぞれ得意とする分野が異なります。
その為、シニア向けの平屋を検討されている方は、バリアフリー住宅やシニア向け住宅を得意としている会社から選ぶようにしましょう。
多くの施工実績がある会社であれば、ノウハウも蓄積されていて、色々なプランやアイデアの提案をしてくれます。
反対に、経験の少ない住宅会社だと提案力も劣りますし、動線の悪い間取りになったり、いざ住んでみると不便だったりとかなりの確立で後悔する事になるので避けた方が良いです。
注文住宅において住宅メーカー選びはとても重要です。
シニア向け平屋の施工実績が多く経験豊富な住宅メーカー複数社を候補にあげて比較・検討を行いましょう。
シニア夫婦二人が平屋で快適に暮らせる広さは?
狭すぎる家では生活も窮屈になり快適ではありませんが、反対に広すぎても移動距離が増え生活する上では面倒になったりします。
家には住む人数に合った丁度良い広さというものがあります。
では、シニア夫婦二人が快適に暮らせる広さはどの位必要なのかを記載していきます。
二人暮らしの場合は75㎡(22.7坪)
快適な広さと言うのは、住宅政策の指針として国土交通省が定めた「住生活基本計画」の中に定められています。
住生活基本計画における「居住面積水準」は下記の通りです。
概要 | 算定式 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 健康で文化的な住生活の基本とし 必要不可欠な住宅面積に関する水準。 | ①.単身者:25㎡ ②.二人以上の世帯:10㎡×世帯人数+10㎡ |
誘導居住面積水準 | 豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準。 | ①.単身者:55㎡ ②.二人以上の世帯:25㎡×世帯人数+25㎡ |
居住面積水準の算定式で求めると二人暮らしの場合、最低水準で30㎡(9.1坪)豊かな生活を送るには75㎡(22.7坪)となります。
よってシニア夫婦二人で“快適に"暮らす為には75㎡(22.7坪)程度の広さが必要となります。
家は広く作り過ぎても建築費用もメンテナンス費も高くなりコストが嵩みますし、使い勝手も悪くなるので誘導居住面積水準の広さを目安にしておくと良いでしょう。
二人用の平屋の価格相場
夫婦二人で快適に暮らせる広さ75㎡(22.7坪)は大体2LDK~3LDKの広さに該当します。
平屋で2LDK~3LDK(22.7坪前後)の凡その価格相場は1,300万円~2,300万円位です。
当然、家の形状や間取り、設備など諸条件により価格は変わりますのであくまで参考程度にお考え下さい。
シニア夫婦の平屋に取り入れたい間取りやアイデア
シニア夫婦が建てる平屋に人気の間取りをいくつかご紹介していきたいと思います。
LDKから各居室に行きやすい間取り
LDKから各居室に行きやすい間取りは、目的の部屋までに移動距離が少ないので楽です。
また介護が必要になった際にも、LDKと繋がっている事によって何かあった時にでも直ぐに気付く事が出来ます。
寝室のすぐ近くにトイレ
高齢になるとトイレの使用頻度が高くなります。その為、寝室のなるべく近くにトイレを設置すると楽です。
広さは車イスで介護される事も考慮するとそれなりの広さを確保するのが理想的ではあります。
キッチン
立ったまま料理をしたり、洗い物をしたりするのがしんどくなってくるので、座ったままでも調理等ができるキッチンを選ばれる方が多いです。
キッチンの中には高さを調整できるタイプのモノもあります。使う方に合わせて高さを変更できるので便利ですが、お値段は高くなります。
シンクやコンロ下に車イスの入るスペースを設けておくとより使い勝手が良くなります。
洗面台の高さ
洗面台もキッチン同様に高さに注意しましょう。
将来的な事を考え、座った高さで使用できる洗面台にするのも人気です。
洗面台の前にベンチや椅子を設置して使用すれば楽に使えます。その為、イスなどを置けるスペースを確保しておきましょう。
玄関まわり
玄関にスローブが付いていれば将来車イスでの介護が必要になった時にも移動が楽です。
スロープを導入する時にはスロープの傾斜角度にこだわりましょう。角度が緩やかな方が楽ですが、その分距離が必要となります。
また、玄関の上がり框(玄関と床の段差)の高さはあまりない方が使いやすいです。
車椅子での介護者がいる場合は上がり框も段差を無くしフラットにしておいた方が良いでしょう。
それと玄関に腰掛用の椅子があると靴を履いたり、脱いだりする時に便利です。
引き戸を採用する
バリアフリー住宅では引き戸が人気です。
引き戸だと前後に開閉する必要がないので邪魔にならずスペースをとりません。
開けたままにしておく事で開放感も得られますし、部屋も広く感じます。何かあった時にも直ぐに気が付きます。
手すりを付ける位置と床材
手すりは高すぎても低すぎても使いづらいので、手すりを使う方の身長に合わせて高さを決めましょう。
また、床材も滑りにくい加工がされている床材などを採用するのがおすすめです。万が一転んでもケガをしにくい柔らかい素材なども良いです。
クッション性のあるクッションフロアやタイルカーペットなどがおすすめです。
またぎやすい浴槽
浴槽の高さに気を付けましょう。高いとまたいで入る時に足をひっかけてしまう危険があります。また浴槽の深さもなるべく浅いタイプが良いです。
浴槽はすべりやすい場所なので床材にも注意しておきましょう。
補助ライトの設置
夜トイレに行く時にも便利なので足元を照らしてくれる補助灯はあった方が良いです。自動で明かりが付くセンサータイプがおすすめです。
室内フォンや呼び出しブザーの設置
万が一に備えて、トイレや浴室などに緊急コールのボタンを設置しておくと安心出来ます。
オール電化が人気
オール電化であれば火を使わないので火災の心配もありません。
オール電化向けの料金プランであれば、安い深夜帯の電気を使いお湯を沸かしたり、蓄熱したりと効率良く電気を使うので節電も出来、光熱費も抑えやすくなります。
IHクッキングヒーターも使い勝手がよく掃除も凄く簡単です。
シニア夫婦二人が平屋を建てるメリット&デメリット
シニア夫婦に人気の高い平屋ですが、メリットもあれば当然デメリットも存在しています。
後々になって後悔されないようにデメリット面も把握した上で家づくりを行っていきましょう。
メリット
◦動線がコンパクトに纏まり生活が楽
◦家族の気配を感じやすい
◦耐震性能が高い
◦間取りの自由度が高い
◦メンテナンス費用や光熱費が抑えられる
動線がコンパクトに纏まり生活が楽
ワンフロアに全ての間取りが収まるので動線がコンパクトとなり、生活のしやすい家を作りやすいです。
階段も必要がないので階段での転倒のリスクも無いですし、昇り降りの負担もありません。
家族の気配を感じやすい
平屋は部屋と部屋との距離が近いので、家族の気配を感じやすいです。戸を開けっ放しにしておけば、様子もすぐに確認できるので何かあった時にも安心です。
耐震性能が高い
二階建てに比べると平屋は軽いので耐震性を確保しやすいです。また高さも低いので耐風性も優れています。
地震や台風に強い構造で建てられるので安心です。
間取りの自由度が高い
二階部分がないので天井を高くとり、「屋根裏」や「スキップフロア」といった中二階を設けた遊び心のある間取りや趣味専用の部屋の作成など、設計自由度が高いのも特徴です。
将来的にバリアフリー化する場合にも、平屋は階段もなく元々ワンフロアなのでリフォームもしやすいです。
メンテナンス費用や光熱費が抑えられる
二階建ての場合は、二階部分をメンテナンスする時には足場を組む必要がありますが、平屋ではその作業が必要ないのでメンテナンス費用を抑えられます。
冷暖房が二階にいく事もないので冷暖房効率が二階建てより高いです。その為、光熱費を抑えやすいです。
デメリット
◦広い土地が必要となり固定資産税が高くなる
◦建築費用が高くなりがち
◦プライバシーや防犯面
◦周りの建物の影響を受けやすい
◦水害時の浸水に注意
広い土地が必要となり固定資産税が高くなる
例えば延床面積100㎡の家を建てる時、二階建てであれば1階:50㎡。2階:50㎡。と別けて作る事ができますが平屋の場合はワンフロアで100㎡が必要となります。
その為、二階建てに比べると広い土地が必要となります。
また、同じ延床面積の二階建てと比較した時に平屋は基礎部分や屋根・壁の面積が広いので資材も増えます。
土地も広くなるので資産価値が高いとみなされ、固定資産税が高くなります。
建築費用が高くなりがち
同じ延床面積の二階建てと比較をした時に、約倍の広さの基礎や屋根が必要になります。
基礎工事はコストがかかりやすい部分で、それが約倍の広さとなるので建築費用が高くなりやすいです。
ただ、基礎が広い事で台風や風に強い作りとなり、基礎がしっかりしているので間取りの自由度も高いのです。
プライバシーや防犯面
平屋は全ての部屋が1階部分になるので、外からの視線を遮る物がなければプライバシーの確保が難しいです。洗濯物も外に干しづらいです。
また外部から侵入しやすいといった防犯面でも不安があります。
その為、防犯設備を整えるや治安の良い地域に建てるなど心がけましょう。
周りの建物の影響を受けやすい
平屋は背が低いので周りの建物の影響を受けやすいです。
例えば、周囲が二階建てや高い建物が多いと風通りや陽当たりに影響があります。
最近は太陽光パネルを搭載する家も多いですが、設置する時には周りの建物からの影響は無いか等、住宅メーカーと相談しながら進めましょう。
水害時の浸水に注意
平屋は2階がないので、万が一の水害時に垂直避難が出来ないため家全体が水浸しになるリスクがあります。
浸水を避ける為には出来るだけ高地に建てるか、ハザードマップなどで水害が起こりやすい地域かをチェックして場所を選びましょう。
まとめ
シニア夫婦二人で住む平屋におすすめの間取りやアイデア、快適に暮らす為の広さなどをご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
シニア夫婦がこれから平屋づくりをおこなうのであればバリアフリー住宅がおすすめです。
バリアフリー住宅を建てる時には「段差を無くす」「転倒防止の手すり」「温度差を無くす」の3点を特に気を付けておきましょう。
それと、住宅メーカー選びも大切です。
シニア向け住宅やバリアフリー住宅の施工実績が豊富な住宅メーカーの中から候補を絞っていくと失敗がすくないです。
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