大和ハウスのC値とUA値(気密性能と断熱性能)は?
一昔前は住宅性能と言えば耐震性能で、耐震性以外の性能はそこまで気にされない施主さんも多かったのですが、最近は耐震性と同じ位、気密・断熱性能を重視する施主さんが増えてきました。
そこで、大和ハウスの気になるC値・UA値(気密性能・断熱性能)はどの位なのか?
管理人が調べた結果を記載していくと共に、気密・断熱性能の上手な上げ方なども紹介していきます。
気密・断熱に特にこだわりたい方におすすめの記事です。
大和ハウスのUA値(断熱性能)
大和ハウスでは選択する断熱仕様や商品によって断熱性能が異なるので大和ハウス全体でUA値はいくつ、といった記載は公式HPにはありません。
ただ、大和ハウスの家は全商品でZEH基準が標準対応となっているので、ZEH基準を満たすUA=0.6(W/㎡・k)以下で建てる事は可能です。
ZEH基準を満たすUA値
ZEH基準を満たすUA値とは、具体的に数字で表すと以下の通りです。
UA値
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
地域により異なりますが、東北および寒冷地を除く本州の殆どの地域が該当する地域区分4~ではUA値が0.6以下であればZEH基準を満たすUA値となります。
大和ハウスの断熱方法
木造住宅や鉄骨住宅の断熱方法は一般的に「外張り断熱」か「充填断熱」で建てられる事が多いです。
大和ハウスでは『外張り断熱』を採用しています。
「外張り断熱」と「充填断熱」の違いは断熱材を入れる場所の違いです。
外張り断熱では構造体の外側に断熱材を入れます。断熱材で家をすっぽり包み込むイメージです。一方、充填断熱は柱などの構造材の間に断熱材を入れる方法です。
大和ハウスが採用している『外張り断熱』の特徴としては、断熱材ですっぽり包むので壁内結露が発生しにくい事や、構造躯体が傷みにくく住まいが長持ちしやすいというメリットがあります。
デメリットとしては断熱材の外側に外壁を施工するので壁厚が増える事や充填断熱よりもコストがかかる事があげられます。
ちなみに「外張り断熱」と「充填断熱」はそれぞれ長所と短所がありどちらの方が優れているといった事もありません。
大和ハウスの場合は鉄骨造が主流で、その鉄骨がヒートブリッジ(外壁と内壁の間にある柱や梁が熱を伝える現象)となるので鉄骨の外側をぐるりと断熱材で包み込む「外張り断熱」を採用しています。
外壁
断熱材とセットになった外壁を採用しています。高性能グラスウール(熱橋補強断熱材)、高性能グラスウール、高密度グラスボードの3層の断熱材で柱や梁までしっかりと断熱をおこなっています。
また、断熱のみならず雨水の侵入リスクや壁内結露の対策も万全です。
外壁からの侵入には外壁表面での一次防水に加え、万が一雨水が侵入しても内部の「透湿防水シート」と「二次ガスケット」の二次防水で防ぎ、通気層から外部へ排水されます。さらに二次防水面と柱や梁の間に十分な距離を確保し、構造体が雨水に濡れるリスクを軽減しています。
屋内からの湿気も「防湿シート」で壁内への侵入を防ぎます。万が一、侵入しても通気層から外部に排出される仕組みとなっています。
大和ハウスではこの外壁の事を『外張り断熱通気外壁』と呼んでいます。
断熱材
断熱材は、外壁には高密度グラスウールボードと高性能グラスウールが採用されています。
ちなみに、高密度グラスウールボードとは大和ハウス独自開発で、グラウウールを断熱性能が最も高くなる密度(140kg/㎥)まで圧縮したボードの事で、一般的なグルスウールの約1.5倍の断熱性能をもつと言われています。
床下の断熱材には硬質ウレタンフォームを採用
天井はスタンダードV・ハイクラスV断熱仕様の場合には高性能グラスウール、エクストラV断熱仕様の場合には吹込みロックウールが採用されています。
大和ハウスの断熱仕様
断熱仕様 | スタンダードV | ハイクラスV | エクストラV |
---|---|---|---|
外壁 | 高性能グラスウール60mm 2層 高密度グラスウールボード12mm 合計:132mm | 高性能グラスウール60mm 2層 高密度グラスウールボード12mm 合計:132mm | 高性能グラスウール60mm 2層 高性能グラスウール52mm 高密度グラスウールボード12mm 合計:184mm |
床下 | 硬質ウレタンフォーム65mm | 硬質ウレタンフォーム65mm | 硬質ウレタンフォーム65mm |
天井 | 高性能グラスウール14k(100mm) | 高性能グラスウール16k(100mm) | 吹込みロックウール(300mm) |
窓の仕様
断熱性能を測る上で断熱工法・断熱材も重要ですが、同じ位窓の仕様も大切になってきますので、大和ハウスの窓の仕様についても確認しておきます。
断熱仕様 | スタンダードV | ハイクラスV | エクストラV |
---|---|---|---|
ガラス | Low-Eペアガラス(乾燥空気入) | Low-Eペアガラス(アルゴンガス入) | Low-Eペアガラス(アルゴンガス入) |
サッシ | アルミ樹脂複合サッシ | 樹脂サッシ | 樹脂サッシ |
以上の断熱仕様を見る限り、標準仕様で建てた時にはZEH基準を満たす0.6以下になると思われますが、わりとギリギリ基準値を満たす数値になりそうです。
オプションであるハイクラスV断熱仕様やエクストラV断熱仕様にすれば、ZEH基準を余裕で満たす数値(UA値 0.4)位になりそうです。
断熱性能によりこだわる場合はコストアップしてしまいますが断熱仕様のグレードアップのオプションを採用するのが良いと思います。
大和ハウスのC値(気密性能)
気密性能は1棟1棟異なるので公式からの正式なC値の発表はありません。
その為、大和ハウスで実際に家を建てた施主さんによる建築ブログを参考にC値を推測していきたいと思います。
気密測定を行っている施主ブログ
こちらの施主さんの気密測定の結果は、2回測定してもらってC値1.24と1.16となっています。
こちらの施主さんはxevoΣのエクストラV断熱を採用したようで断熱性能(UA値)は0.48。気密性能(C値)は1.86だったようです。
こちらの施主さんはxevoΣでC値 2.1となっています。
こちらの施主さんもxevoΣで気密性能にこだわった結果、C値0.96という数値が出ています。
以上の施主さんによる建築ブログを参考にすると、大和ハウスで建てた時の気密性能(C値)は1.0~2.0程度になると推測されます。
UA値(断熱性能)とC値(気密性能)の結果発表
大和ハウスの標準仕様で建てた場合、UA値は0.6(W/㎡・k)、C値は1.0~2.0(c㎡/㎡)位です。(※)
大和ハウスのUA値(断熱性能)とC値(気密性能)
UA値 | 0.6(W/㎡・k) |
C値 | 1.0~2.0(c㎡/㎡) |
(※)
・C値は大和ハウスの公式発表の数値ではありません。施主さんのブログや構造・工法などから当サイト管理人が推測した予想値です。
・UA値・C値は家の形状や間取り等で変わる数値なのであくまで参考程度にお考え下さい。
木造の場合
大和ハウスは鉄骨造のxevoΣが有名ですが、GranWoodシリーズなど木造の住宅商品も取り扱っています。
残念ながら木造で施工した方で気密測定の結果を記載している建築ブログを見つけられなかったので、木造のC値は鉄骨造のxevoΣのC値を参考にしますが、おそらく1.0以下になると思われます。
なぜ1.0以下になるかと言うと、鉄骨造より木造の方が気密性を確保しやすいからです。
鉄骨造でもC値1.0位を出せる施工精度であれば木造であれば1.0以下は確保出来ると思われます。
断熱性能に関しても木の方が鉄よりも熱伝導率が低いので木造の方が断熱性能を確保しやすいです。その為、大和ハウス木造の場合はUA値0.4~0.6程度ではないかと予想します。
大和ハウスで木造を建てた時のUA値(断熱性能)とC値(気密性能)
UA値 | 0.4~0.6(W/㎡・k) |
C値 | 1.0以下(c㎡/㎡) |
UA値とC値の注意点
断熱性能と気密性能を判断する上でUA値とC値は役に立つ指標ですが、知っておいた方が良い注意点がありますのでご紹介しておきます。
UA値は理論値
UA値はあくまで理論値です。家の仕様が決まると計算式を使い算出する事が出来ます。
UA値の計算式は下記の通りです。
UA値=建物が損失する熱量の合計(w/k)÷外皮面積(㎡)
UA値は住宅の内部から床や外壁・天井や開口部などから外部へ逃げる熱量の合計を外皮面積で割った値です。計算式で求める事になるので理論値となります。
実測値ではないので、万が一施工不良などがあれば算出したUA値よりも実際は悪い数値で家が建つ可能性もあります。
C値は実測値
C値は家全体の隙間の広さを示す数値で、上記画像のような専用機器を用いて測定を行う実測値です。
C値の計算式は下記の通りです。
C値=家全体の隙間の合計(c㎡)÷延床面積(㎡)
気密測定は、家にどれだけの隙間が空いているのかを測定する作業なのである程度施工が進んでからでないと測る事が出来ません。
気密測定を行うタイミングは、断熱・気密工事が終わった後か竣工後に行います。
つまり家が建つ前段階ではC値は分からないのです。
またC値は家の形状や間取りによっても変わりますが、現場の大工さんの施工精度も反映されます。施工精度が低く杜撰な仕事をする職人さんが建てた家は隙間が多くなるのでC値が悪くなります。
…厳密に言えば構造や工法、断熱工法の違いなどで気密性の確保のしやすさは変わるので一概に現場の職人さんの腕だけが原因という訳ではありませんが、過去に建てた住宅の平均C値が優れている住宅メーカーは現場の職人さんが優れている&気密性を確保しやすい家という事が判断できるので、過去の平均C値が良ければ自分が建てる時にも気密性が確保された家が建つ可能性が高いです
どちらにしても現場の施工レベルが低ければ優秀なC値は出せませんので、C値は現場の施工レベルを測る物差しとしても役に立ちます。
UA値とC値は必ずセットで考える
気密性能と断熱性能は必ずセットで考えましょう。どちらか一方だけが優秀であってもあまり意味がありません。
せっかく断熱性能が優れている家でも、気密性能が低ければ外気の影響をうけやすくなります。逆もまた然りです。気密・断熱両方の性能が優れている事で始めて高気密・高断熱の恩恵を受けられるのでこの2つは必ずセットで考えるようにしましょう。
高気密・高断熱には定義がない
ハウスメーカーのHPにもよく『高気密・高断熱住宅』というPR文言が記載されていますが、実は高気密・高断熱の定義は決まっていないのです。
その為、営業マンの「我が社の家は夏は涼しく冬は暖かい、高気密高断熱住宅ですよ」等のセールストークを鵜呑みにして家を建てた結果、実際の気密性能・断熱性能はそこまで高くない“なんちゃって高気密・高断熱住宅"だったなんて悲しい失敗例も多くあります。
そうした失敗をおこさない為にも、性能は文言ではなく必ず数値を確認するようにしましょう。
気密性能と断熱性能はC値、UA値の値を確認
例えば、以下のようなキャッチフレーズでPRをしているハウスメーカーが3社あったとします。
A社:『高性能断熱材で真冬でもポカポカ住宅!』
B社:『裸足でも快適に過ごせるあたたかいお家!』
C社:『W断熱で夏でも冬でも1年中快適ハウス!』
上記の文言だけではどこの会社が1番気密性能・断熱性能に優れているか分からないと思います。では下記の場合ではどうでしょうか?
A社:(UA値:0.8/C値:1.0)
B社:(UA値:0.3/C値:0.3)
C社:(UA値:0.6/C値:1.2)
数値に置き換えれば3社の中でB社の商品が1番気密性能・断熱性能に優れているという事が分かります。気密・断熱性能を判断する時には書かれている文言ではなくUA値やC値の値を確認するようにしましょう。
耐震性能や気密・断熱性能などの住宅性能。キッチンや浴室、トイレなどで使われる住宅設備の機能や見た目やカラー。外観・内装のデザイン。各社人気の間取り、保証制度など大切な事は必ずカタログで確認をしましょう。
HPには書かれていなかったり、情報が古かったりします。特にC値・UA値はHPに書かれていない事が多いです。その点、カタログにはハウスメーカーを選ぶために必要な情報がバッチリ載っています。
特に外観デザインや内装のデザイン、キッチンや浴室の見た目などは実際の画像を見ない事には分からないと思いますが、カタログであれば写真付きで載っていますので、生活を送る具体的なイメージが湧いてきます。
その為、ハウスメーカーを選ぶ時には必ず最新カタログを取り寄せカタログに載ってある情報で比較検討をするようにしましょう。
大和ハウスのC値・UA値は快適に暮らせる値か?
高気密・高断熱住宅には定義がないとお話をしましたが、実際に優れた気密性能と断熱性能をほこる本当の高気密・高断熱住宅であれば夏は涼しく冬は暖かく1年を通じて快適に暮らす事が出来ます。
では本当の意味で高気密・高断熱と呼べる住宅はC値とUA値がどの程度であれば良いのか、どの程度あれば1年を通じて快適に暮らす事ができるのかを説明していきたいと思います。
快適に暮らす為に必要なUA値
快適に暮らせるUA値を定める為にH25省エネ基準、ZEH基準、HEAT20 G1基準、HEAT20 G2基準、HEAT20 G3基準のUA値を参考にしたいと思います。
UA値
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
H25省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 |
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
HEAT20 G1基準 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 |
HEAT20 G2基準 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
HEAT20 G3基準 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 |
快適に暮らすために確保しておきたいUA値はZEH基準を満たす数値です。地域によりUA値は異なりますが東京・大阪の該当する6地域であればUA値 0.6以下を目指したいところです。
(※)
HEAT20とは20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の略称
ZEH基準を目標とする理由
H25省エネ基準は平成25年(2013年)に定められた指標で今では基準が古すぎます。設定もゆるゆるで、"省エネ基準"という名前がついていますが、この基準を満たしてもさほど省エネ住宅にはなりません。
H25省エネ基準は本来であれば2020年に義務化される予定でした。(義務化は見送られました。)つまり、義務化されていればこの基準を満たしていないと建てる事すら出来ないという最低限の基準だという事です。この基準を満たしても快適に暮らす為には物足りません。
ちなみに、ハウスメーカーのHPなどで『断熱等級4の最高等級!!』等とよく書かれていますがH25省エネ基準を満たしていれば断熱等級4を取得する事ができます。『最高等級』と聞くと何だか凄そうに見えますが実際はそこまで凄い数値ではありません。
2022年4月に等級5が、同年10月に等級6と7が新設されたので現在の最高等級は7となります。
また2025年4月以降は、断熱等級4以上が義務化され2030年には断熱等級5(ZEH基準)が義務付けられます。
その為、快適に暮らすにはH25省エネ基準よりも上の基準を目指すべきです。では、ZEH基準よりも厳しいHEAT20基準を目標にするのはどうなのか?という所ですが、もちろん断熱性能だけを考えるのであればHEAT20基準を満たしていれば間違いありません。
ただし問題になってくるのがコストです。断熱性能を上げればあげるだけコストがかかります。それに寒冷地で無い場合にはオーバースペックになる可能性もあります。
コスト面も考慮した時にいい感じで落ち着くのがZEH基準を満たしたUA値という事です。ZEHを満たすUA値であれば断熱性能も高く快適に過ごせます。
快適に暮らす為に必要なC値
平成11年(1999年)に改正された省エネ基準にはC値の基準となる指標があったのですが平成25年(2013年)に省エネ基準を改正・強化された時にC値の項目は削除されてしまいました。その為、現在C値にはUA値のように基準になる指標がありません。
ちなみに平成25年(2013年)まで使われていたC値の基準となる指標は下図とおりです。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
次世代省エネ基準 | 2 | 2 | 5 | 5 | 5 | – | – |
この基準値はかなり古く、今の時代には全く適していません。たまに、この2013年まで使われていた指標を指して『気密性能の基準値を大幅にクリア』等と謳っているハウスメーカーもあるので気を付けましょう。
これから家づくりをおこなうのであればC値は0.7以下を目指したいところです。
C値 0.7以下を目標とする理由
気密性能は住宅の換気能力とも大きく関わってきます。穴の開いたストローでは、外から空気が入ってきてしまい上手に吸えないのと同様に、気密性能が悪く隙間の多い家では計画換気が上手に行えません。
それを分かりやすく示しているのが下図で、第三種換気システム稼働時の気密性能と隙間からの給気量の関係を表しています。
C値=(相当隙間面積)が1.0(c㎡/㎡)の場合、自然給気口からは50%の給気しか出来ていません。残りの50%は家のスキマから侵入している事になります。C値が悪くなればなるほど給気口から給気量は下がり、スキマからの流入が増えてきます。
ちなみに第一種換気システムでも同じような事が言えます。下図は第一種換気システム稼働時の気密性能と風・温度差との関係を表した図です。
必要換気量(※)が0.5回/hの時、C値1.0であれば総漏気量(風速2.5m~3m/秒の時)は0.22回/hとなっています。(漏気とはスキマから不規則に出入りする風の事)
(※)
必要換気量とは室内の空気を衛生的に保つために、必要最低限換気しなければならない空気の量のこと。4人家族を想定した平均的な戸建て住宅の場合で0.5回/時程度の換気が必要となる。
つまり、必要換気量0.5回/hの内0.22回/h(必要換気量の44%)がスキマから侵入した風という事です。第三種換気システムと同様にC値が悪くなればなるほど総漏気量は増えていきます。
このようにC値が1.0以上になると給気口以外、家のスキマからの風の侵入が増えてしまいます。給気口には通常、砂塵やチリやホコリ、花粉やPM2.5などを除去するフィルターが設置されていますが、給気口を通らない風が侵入する事で、汚い空気が室内に流れこみます。
こうした汚れた空気が常日頃から室内に流れ込む事が原因でシックハウス症候群やアレルギーを発症してしまう人もいます。またカビ菌やウイルスも取り入れてしまうのでカビの発生リスクが高まったり、侵入したウイルスで体調を崩したりもします。
更に、スキマから入った空気は壁のなかを走り天井や床を流れる事もあります。大量のスキマ風が壁内をめぐると、室内との温度差で結露が発生しやすい環境となり住宅の寿命を縮める原因にもなります。
気密性能(C値)が悪くなると計画換気が上手に行えず、その結果住んでいる人にも家にも悪影響を及ぼします。その為、C値は最低でも1.0以下が望ましいのですが、C値は経年劣化の影響を受けやすい事も考慮しておかないといけません。新築時にC値が1.0であっても10年後には悪くなっている可能性が高いです。
その為、経年劣化も考慮すると新築時に目指したいC値は0.7以下となります。10年後に建て替えを予定していたり、長く住む予定でない方であればC値1.0以下を目指す考え方でも良いと思います。
C値・UA値は快適に暮らせる数値を満たしている?
当サイトで定めた快適に暮らす為に必要なC値は0.7以下、UA値はZEH基準を満たす値です。
大和ハウス標準仕様の暫定C値は1.0~2.0(c㎡/㎡)、UA値は0.6(W/㎡・k)です。よって大和ハウスのUA値(断熱性能)は当サイトで定めた基準を満たしているが、C値(気密性能)は基準値を満たしていないと言えます。
因みに大和ハウスの木造の場合だと暫定C値は1.0以下(c㎡/㎡)、UA値は0.4~0.6(W/㎡・k)です。C値がやや物足りない可能性もありますが、この程度であれば後述する気密性能を上げる方法を施せば快適に暮らせる数値(C値=0.7以下)を満たす事も可能かなと思います。断熱性能に関しては問題ありません。
…と、ここまでだと鉄骨よりも木造のほうが優れている風に見えてしまいそうなので補足しておきます。
鉄骨住宅は木造よりも気密性能を確保するのが難しいですが、木造よりも少ない柱で構成できるので設計の自由度が高く、開口部や窓を大きくとる事ができます。
また鉄骨は工場で生産されるため品質が安定しており、現場では組み立てるだけなので工期も比較的短くすみます。また資産価値の下がるスピードが木造に比べ緩やかなので売却時に木造よりも高く売れる事が多いです。
このように木造よりも鉄骨の方が優れている点、反対に木造の方が優れている点もあり、どちらの方が一概に優れているという事はないです。
大和ハウスの鉄骨の家は当サイトの基準にあてはめると高断熱ではあるが高気密とは呼べない、という結果になりましたが気密性能はあくまで住宅性能の1部分です。
その性能だけでHMを判断するのではなく価格は勿論、営業との相性やその他の性能、デザイン、設備など様々な角度から比較を行いましょう。
誰もがハウスメーカー選びで失敗したくないと思っていますが、残念ながら失敗や後悔をする人が後を絶ちません。失敗してしまう最大の理由は比較・検討が不十分だからです。
マイホームに限らず車や高級時計を買う時にもデザインや価格、性能などを比較するのと同じように、ハウスメーカーを選ぶ時にも各社のデザインや価格、住宅性能や設備、保証制度などを比較する必要があります。
注文住宅であれば一人一人の条件が異なるので、自分にとって最適なハウスメーカーを見つける事が大切です。この作業を面倒くさがると後々になって必ず後悔するので、先ずは無料カタログで比較する事から始めてみましょう。
C値、UA値を確認する方法
過去の実績値も参考に出来ますが、注文住宅では1棟1棟仕様が異なるのでC値、UA値も変わってきます。その為、自分の家のC値、UA値も確認する事をおすすめします。
UA値を確認する方法
UA値は家の仕様が決まったタイミングで計算により求める事ができます。一通りの仕様がまとまった時にハウスメーカー側に「UA値を教えて下さい」と伝えれば算出して貰えます。
ハウスメーカーによってはUA値の算出に別途費用が発生する会社もありますので、その辺は事前に確認をしておいた方が良いでしょう。
C値を確認する方法
C値に関してもハウスメーカーに気密測定を行いたい旨を事前に伝えておけば手配をしてくれます。ただしハウスメーカーによっては「気密測定はやっていない」と断られるパターンもあります。
そんな時は自分で気密測定業者に直接依頼を行えば問題ありません。直接依頼をするメリットは、ハウスメーカーを挟まないので費用を抑えられる可能性がある事と、第三者の立場で測定をして貰えるので安心感を得られる事です。
デメリットとしては業者とのやりとりを全て自分でやる必要があり手間がかかるという事です。ちなみに気密測定1回の費用相場は5万円~10万円程度かかります。
C値を確認するタイミング
気密測定を行うタイミングは主に2回あります。1回目は断熱・気密工事が終わった後(まだお家は完成していません。)2回目は竣工後(お家の完成後)です。
より安心感と確実性を求めるなら1回目、2回目と両方のタイミングで行う事です。ただし1回の測定につき5万円~10万円程度の費用がかかるので「出来れば1回に抑えたい」という方は、断熱・気密工事が終わったタイミングで測定を行う事をおすすめします。
理由は、そのタイミングであればC値が悪かった時に気密処理の弱いところを特定し、気密性向上のための施工がわりと簡単に行えるからです。竣工後の測定よりもC値の改善、手直しがしやすいのです。
気密測定の結果C値が悪ければ改善をしてもらう事は事前にハウスメーカーと交渉をしておきましょう。出来れば契約の条件に入れておいた方が良いです。
満足できるC値、UA値で家を建てる方法
高気密・高断熱住宅だと思っていたのに実際の数値は悪かった…なんて事にならないようにハウスメーカーと契約を結ぶ前に以下の事をしておくと良いです。
契約の条件に『UA値○○以下保証』を入れる
ハウスメーカーと契約を結ぶ条件の1つに『UA値:○○以下保証』を加えましょう。契約の前にはUA値:○○以下保証を入れた状態で見積もりも貰うようにしましょう。
契約後に「UA値を○○以下にしたい」と伝えても「ではそのUA値にするにはこれが必要なのでこの位の追加費用が発生しますねー。」と想定外の費用が発生する可能性があるので契約前に話を詰めておく必要があります。
ちなみにUA値は間取りや窓の仕様、断熱材などにより変わってきますので希望のUA値がある場合には出来るだけ早い段階で「UA値は○○以下を希望しています。」と伝えておいた方が住宅会社側もそれに合わせた提案が出来るので話がスムーズに進みます。
目標とするC値を提示して貰う
C値もUA値のように○○以下保証が出来れば良いのですが、C値は実測値なので保証までしてくれるハウスメーカーは少ないです。保証が無理な場合には目標とするC値を提示して貰いましょう。
その提示された目標値が本当に達成可能な数値かどうかは過去に建てた住宅の平均C値を尋ねて判断をして下さい。モデルハウスの数値よりも実際の施工住宅で測定されたC値の方が信用ができます。
実際の施工住宅で何度も良いC値を出しているハウスメーカーであれば職人さんの施工精度が高く丁寧な仕事をしてくれるでしょう。反対にC値のデータが乏しい会社やごまかしたりする会社は気密性能に自信の無い会社である可能性が高いので注意が必要です。
気密測定には別途費用がかかりますが1棟1棟数値が異なるので、自分の家を建てる時にはやっておく事をおすすめします。断熱・気密工事が済んだタイミングで1度気密測定を行い、その時にC値が悪ければ目標C値まで手直しをして貰う事も契約の条件に入れておくと良いです。
高気密・高断熱住宅を得意とするHMと契約をする
餅は餅屋という諺もある通り、高気密高断熱住宅を得意としているハウスメーカーであれば実績も豊富でノウハウも蓄積されています。特に気密性能は現場の施工精度にも大きく影響を受けるので慣れていない会社であれば悪いC値になる可能性は高いです。
UA値に関しては理論値なので、良い断熱材を使い窓や玄関、勝手口なども高断熱仕様のものを採用すれば数値上良くする事は出来ます。ただし算出した数値と実際に建てた家のUA値が等しくなるかは施工精度に関わります。
その為、平均C値の優れたハウスメーカーや高気密・高断熱住宅を得意としているハウスメーカーにお願いをした方がUA値、C値は良くなりやすいです。
高気密・高断熱住宅を得意とするHM
当記事で定義をした、快適に暮らす為に確保しておきたいC値(建て替え予定等あれば1.0以下、特になければ0.7以下)とUA値(ZEH基準を満たす値)を満たしているハウスメーカーを何社かご紹介したいと思います。
※
C値とUA値の参照元が支店・加盟店を含む公式HPや公式が出したPDF資料に記載のあるハウスメーカーのみをピックアップ。
社名 | UA値 (W/㎡・K) | C値 (c㎡/㎡) | 参照元 |
---|---|---|---|
FPの家 | 0.43 | 0.44 | 公式HP UA値・C値 |
R+house | 0.46 | 0.34 | PDF資料 UA値・C値 |
To Casa | 0.3 | 0.3 | 公式HP UA値・C値 |
アイフルホーム | 0.3 | 0.54 | 公式HP UA値・C値 |
アエラホーム | 0.39 | 0.47 | 公式HP UA値・C値 |
イノスグループ | 0.56 | 0.3 | 公式HP UA値・C値 |
ウェルネストホーム | 0.28 | 0.2 | 公式HP UA値・C値 |
ウッディ伊藤 | 0.22~0.34 | 0.1~0.3 | 公式HP UA値・C値 |
オートリホーム | 0.56 | 0.7 | 公式HP UA値・C値 |
カネカのお家 | 0.28 | 0.2 | 支店・加盟店HP UA値・C値 |
サイエンスホーム | 0.46以下 | 0.7以下 | 支店・加盟店HP UA値・C値 |
サンコーホーム | 0.28 | 0.5 | 公式HP UA値・C値 |
ジブンハウス | 0.46 | 0.2 | 支店・加盟店HP UA値・C値 |
スウェーデンハウス | 0.36 | 0.64 | 公式HP UA値・C値 |
セルコホーム | 0.37 | 0.492 | 公式HP UA値・C値 |
トヨタウッドユーホーム | 0.34 | 0.8 | 公式HP UA値・C値 |
フィアスホーム | 0.38 | 0.32 | 支店・加盟店HP UA値・C値 |
メープルホーム | 0.46 | 0.3 | 公式HP UA値・C値 |
ヤマト住建 | 0.27 | 1.0以下 | 公式HP UA値・C値 |
ユートピア建設 | 0.43 | 0.13 | 公式HP UA値・C値 |
ユニバーサルホーム | 0.34 | 0.4 | 公式HP UA値・C値 |
一条工務店 | 0.25 | 0.59 | 公式HP UA値・C値 |
九州八重洲 | 0.26 | 0.6 | 公式HP UA値・C値 |
建成ホーム | 0.3 | 0.27 | 公式HP UA値・C値 |
住ま居る | 0.3 | 0.5 | 公式HP UA値・C値 |
小嶋工務店 | 0.56 | 0.3 | 公式HP UA値・C値 |
小林住宅 | 0.29 | 0.15 | 公式HP UA値・C値 |
真柄工務店 | 0.46 | 0.5 | 公式HP UA値・C値 |
石井工務店 | 0.42 | 0.33 | 公式HP UA値・C値 |
大共ホーム | 0.15 | 0.2 | 公式HP UA値・C値 |
大庭工務店 | 0.46 | 0.5以下 | 公式HP UA値・C値 |
第一住宅 | 0.46 | 0.5 | 公式HP UA値・C値 |
土屋ホーム | 0.24 | 0.38 | 公式HP UA値・C値 |
馬渡ホーム | 0.26 | 0.29 | 公式HP UA値・C値 |
福岡工務店 | 0.43 | 0.08 | 公式HP UA値・C値 |
北洲ハウジング | 0.31 | 0.65 | 公式HP UA値・C値 |
全国のハウスメーカーや工務店を把握している訳ではないので上記に名前がなくてもC値、UA値が優れた住宅会社は沢山あります。自分が建築を予定している地域でC値、UA値の優れた住宅会社が他にないかは下記よりお探し下さい。
play_circle 高気密・高断熱住宅の得意なハウスメーカー気密性能(C値)と断熱性能(UA値)を良くする方法
施主側で比較的簡単に実施ができる気密性能と断熱性能を上げる方法(C値とUA値を下げる方法)をいくつかご紹介したいと思います。
断熱性能を上げる(UA値を下げる)方法
◦断熱材のグレードを上げる
◦窓を断熱仕様にする
◦玄関ドアや勝手口を断熱仕様にする
断熱材のグレードを上げる事で断熱性能を上げる事が出来ます。こちらに関しては説明不要だと思いますので詳細は割愛します。
窓を断熱仕様にする
断熱性能を上げる時にまず注目をしたいのが窓です。なぜなら天井(屋根)や外壁、床から熱が逃げたり侵入するよりも、窓などの開口部から熱が逃げたり侵入する割合の方が多いからです。
つまり窓の断熱性能を上げる事が家全体の断熱性能を上げる事に直結します。窓の断熱性能を上げる時にチェックしておきたいポイントは主に以下の3点です。
◦窓ガラスの種類
◦窓サッシの種類
◦スペーサーの種類
窓ガラスの種類
窓ガラスは大きく分けて4種類あります。単板ガラス→複層ガラス→Low-E複層ガラス→Low-Eトリプルガラスの順に断熱性能が良くなります。
ガラスとガラスの中空層に入れる気体は大きく分けて4種類あります。乾燥空気→アルゴンガス→クリプトンガス→真空の順に断熱性能が良くなります。
おすすめの窓ガラスはLow-E複層ガラス(アルゴンガス入り)です。もちろんLow-Eトリプルガラスの方が断熱性能は優れていますが費用が高くなるので、寒冷地にお住いの方や予算に余裕のある時にLow-Eトリプルガラスを検討する形で良いと思います。
窓サッシの種類
窓サッシは大きく分けて4種類あります。アルミサッシ→アルミ樹脂複合サッシ→オール樹脂サッシ→木製サッシの順に断熱性能が良くなります。
おすすめの窓サッシはオール樹脂サッシです。木製サッシも断熱性能的には申し分ないですが価格が高いです。
スペーサーの種類
スペーサーとはガラスとガラスの間のスペースをつくるためのパーツです。スペーサーは2種類あります。アルミスペーサー→樹脂スペーサーの順に断熱性能が良くなります。
おすすめのスペーサーは樹脂スペーサーです。
以上のように窓に使われるパーツにこだわる事で窓の断熱性能を上げる事が出来、その結果家の断熱性能も上がります。
また窓のサイズや設置数も断熱性能に関わりますので、単純に窓のサイズを小さくしたり設置数を減らす事でも断熱性能を上げる事が出来ます。
玄関ドアや勝手口を断熱仕様にする
玄関ドアや勝手口を断熱仕様にする事でUA値を下げる事が出来ます。断熱性能を高めたい場合は玄関ドアと勝手口を選ぶ時に熱貫流率(U値)を確認し、U値の低い物を選びましょう。
(熱貫流率(U値)とは熱の伝わりやすさを表す数値で、値が低ければ低いほど熱の移動を少なく抑える事が出来る=断熱性能が高い。という見方が出来ます。)
気密性能を上げる(C値を下げる)方法
気密性能を上げる(C値を下げる)為にチェックすべきポイントは以下の3点です。
◦窓の構造
◦配管・コンセント周り
◦C値改善を行ってくれる業者に依頼
窓の構造
断熱性のみならず気密性の観点から見ても窓は需要なポイントです。特に気にしたいのが窓の構造です。日本の住宅で1番よく見かける横方向に開閉する『引き違い窓』は気密性能があまり高くありません。
気密性能を重視するならビジネスホテルなどでよく見かける『すべり出し窓』がおすすめです。もしくは欧米で一般的に使われている『開き窓』も引き違い窓よりは気密性能が高いです。
開閉しない採光のみが目的の窓であれば、1番気密性能の高い「FIX窓」を採用する事でC値を下げる事が出来ます。
ちなみに断熱性能と同様に窓のサイズや設置数も気密性能に関係してきます。単純に窓のサイズを小さくしたり設置数を減らす事でもC値を下げる事が出来ます。
配管・コンセント周り
上記左側の画像は気密処理を行わずに裏側から冷風を送った時の実験画像で、右側は気密処理を行った時の画像です。2つを比較すると明確な温度差が生じている事が分かります。特に断熱材として使用率の高いグラスウールなどの繊維系断熱材ではこの温度差が顕著に現れます。
配管・コンセント周りの1個あたりの隙間は小さくても、家全体で考えると大きな隙間となります。配管・コンセント周りの気密性能を確保する為に気密部材等を的確に使い気密処理をきちんと行っているか確認をしておきましょう。
C値の改善をサポートしてくれる業者に依頼
気密測定は施主が測定業者に直接依頼をする事もできます。業者の中には測定時に隙間箇所の発見、改善までをサポートしてくれる会社もありますので気密施工に疎いハウスメーカーであれば、下記のような業者に依頼を出すのも手です。
まとめ
大和ハウスの気密性能(C値)と断熱性能(UA値)を調べた結果や、快適に暮らす為に確保しておきたいC値・UA値の値、満足できるUA値、C値で家を建てる方法やC値・UA値の下げ方などをご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
大和ハウスで建てる家は、品質が安定しており耐久性が高く災害に強い家であり、少ない柱や壁で建てられるので間取りの自由度も高いです。
大手のハウスメーカーという社会的な信用度も高く安心感もあります。多くの方に選ばれ続けている優良なハウスメーカーではありますが、大和ハウスに負けず劣らず優れた住宅の提供を行うメーカーは他にもあります。
これから家づくりを始める方は、最初に候補とするハウスメーカーを絞り過ぎるのではなく出来るだけ多くのハウスメーカーの中から比較・検討を行った方がより自分に合ったベストな住宅会社を見つける事が出来ます。
ハウスメーカー選びに失敗しない為に時間的な余裕を持って出来るだけ多くの候補の中から比較・検討を繰り返しましょう。素敵なマイホームづくりを応援しています。
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